▼「中曽根政権の5年間で、日本はスカスカ経済へと舵を切った」
(300号記念、空洞化の研究その3)
中曽根康弘氏が亡くなりましたが、世間にあふれている弔辞は、どれも退
屈なものばかりです。日米同盟は強固、国鉄改革は成功、経済が強かった時
代、韓国や中国とも蜜月、ということで、まるで聖人君子のような賛辞にあ
ふれているのですから、呆れたものです。
私は、1982年から87年という中曽根政権の時代が、現在に至る日本
経済衰退の苦しみ、その元凶となる時代だと考えています。非常に大雑把で
はありますが、駆け足でこの5年間を振り返ってみることにしましょう。
1982年は、CDフォーマット決定とIBMスパイ事件が起きた年でし
た。
CDについては、ソニーが蘭フィリップスと共同で決めたとしていますが、
16ビットという低すぎるスペックのフォーマットが普及し過ぎてしまった
ために、世界の音楽業界、オーディオ業界に計り知れないダメージ、つまり
付加価値を高められないという悲劇を招くこととなったのです。
そのダメージが一番大きかったのは日本であり、その後の30年間でゆっ
くりと日本のオーディオ産業は安楽死していくのでした。iPodやMP3
といったデジタルオーディオを嫌って新しい波に乗れずに転落したというの
は、最後のトドメに過ぎません。
一方で、IBMスパイ事件は、半導体技術などコンピュータのハード面で
は、アメリカを抜きつつあった日本に対抗して、米IBMがソフトにおける
秘密主義によって互換機を妨害に出たところ、これに対抗した日本勢の情報
収集活動が悪質なおとり捜査の被害に遭ったという事件です。
だったら、日本勢は独自OSの開発に向かえば良かったのですが、アメリ
カにそこまで汚い手を使われても尚、互換機にこだわったばかりか、ソフト
軽視の風潮をつづけたのは致命的でした。差し詰めITの世界における「ミ
ッドウェイ敗戦」というところです。
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