石川ともひろの永田町早読み!
/ 2019年12月8日発行 /Vol. 379
◆酒の勢いで口から出た「失言」は、時すでに遅し……という件
特殊清掃人。
この文字だけでは何の仕事かわかる人は少ないだろう。 お掃除する仕事とは何となく推察できるだろうが、何を掃除するのか。 すぐにわかる人は少ないはずだ。
フジテレビの番組「ザ・ノンフィクション」は、市井で生きている一般人を主人公にしたドキュメンタリー作品を放送している。 のんだくれの人やホスト、ホステス、大家族など見ている側は様々な人生が見られて興味深い。 もちろん、やらせの部分も多々あるだろうが、それにしても面白い。 その番組で取り上げられたのが、「特殊清掃人」という孤独死をした人たちの部屋を掃除することを生業にしている方の物語だ。
さて、番組を見て、「特殊清掃人」の仕事は半端な気持ちでできるものではないと、あらためて悟った。死後1カ月以上を経過した現場では、ウジが湧きハエが飛び交っており、普通の人は部屋に入ることさえできない。 床は人間の体液で汚れており板を通過して、人型に沁みができている。
私は1回目の落選後、自身の勉強のため、さらに支持を広げるために様々な現場におうかがいし、実際に体験をしてきた。 道路工事の現場ではランマー(道路を固めている機械で誰もが見たことがあるものだが名前を知っている人は少ない)を使い、酪農の現場では乳しぼり、ビジネスホテルではエロDVDが散乱している長期滞在の男の部屋でティッシュを片付けるなど、いろいろな現場を体験したが、この「特殊清掃人」だけは無理だなと感じていた。
2012年、日本で一番大きい遺品整理会社であるK社の社長とお会いする機会があった。 K社は映画「アントキノイノチ」のモデルになった会社でもある。 全国に支店があり、特殊清掃や遺品整理では日本一の規模を誇る会社だ。お会いして著書をいただいてから6年間お会いしていなかったのだが、偶然、K社の社長さんが十勝に来られることになり夕食をご一緒させていただいた。 その際、「研修させて下さい!」とつい口から出てしまった。 お酒の勢いもあったのだが、言った後で「しまった」と思ったが時すでに遅し……。
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