石川ともひろの永田町早読み!/ 2019年12月14日発行 /Vol. 380
◆「床に染みが残っています…」/酒の勢いで口から出た「失言」は、時すでに遅し……という件。
の続編
私は扉を開けて開口一番、「おはようございます。 宜しくお願いします」とビビっていることを悟られないようにご挨拶した。 すると社長は「石川さん、おはよう。 まああんまり無理しないでね。 今日はAを付けるから何でも聞いて」と言った。
私は、Aさんの指導を受けながら、20代半ばのB君と3人で中型トラックに乗り世田谷区の現場に向かった。
Aさんは私と同い年くらいの方で、ベテランの風格が出ていて頼もしい。 私のことは「社長の友人」としか聞かされていないので、私に興味があるらしい。
「石川さん、お仕事は?」と聞かれた。 さすがに「元国会議員です」というのは気が引けたので、「す、すいません、む、無職です……」と答えると、車内を沈黙が包んだ。 私は「勉強させていただいて次のステップにつなげたいんです」と沈黙を打破するなどして、何とか車内の会話を盛り上げていった。 Aさんに特殊清掃人の仕事を選んだ理由を聞くと、「いろいろな職業を探しているうちに遺品整理の仕事に興味を持った」とのことだった。 確かに毎回刺激的な仕事なのだろうが、ときとして普通の人にはとても耐えられないような現場もあるだろう。 並の心臓ではできない。
石川 Aさん、これまでで一番凄い現場はどこでしたか?
Aさん 湯船で亡くなられた方の部屋ですかね。 剥がれて浴槽にこびりついていたり、水に浮いていたりした皮膚を掃除したときですかね。 あれは大変でした。
石川知裕46歳はそこまでできません……。
今からどんな現場が待っているのだろう。 途端に怖くなってきた。
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