▼自然災害とブロックチェーン
それでは早速今回のメインテーマを書く。自然災害においてブロックチェーンのシステムを適用したプロジェクトについてだ。今回はその1として、概要を紹介する。
日本では、昨年の台風21号、ならびに今年の台風15号と19号により、予想をはるかに越える被害が出た。まだ受けた損害から完全に復旧していない地域も多い。加速する地球温暖化とともに自然災害の規模は毎年大きくなっており、来年もかなりの規模の災害が発生することが予想されている。
また巨大地震の脅威も大きい。12月1日から8日にかけてNHKは、「体感首都直下地震ウィーク」と称して、リアルなドラマを中心にして、首都直下型地震の引き起こす惨状を特集した。視聴者に生き残るための方法を考えてもらうことがテーマだった。番組では、ライフラインと交通網、そして通信インフラの寸断から、行政が十分に住民を救済することができないことが指摘され、自助によるサバイバルの必要性が強調された。
現行のテクノロジーとシステムでは、大規自然災害の発生時における行政機関の救済能力にも限界があるということだ。対応能力を高めるためには、新しいテクノロジーの導入を基盤にした既存の救済システムの強化が望まれる。
●ブロックチェーンによる対応能力の強化
このような、望まれる新しいテクノロジーのひとつとして注目されているのが、ブロックチェーンの導入である。これにより、既存の災害対応能力が格段に強化されることが期待できるのだ。これがどのようなことか、いくつかのポイントに分けて解説する。
1)ドローンによる輸送能力の強化
災害時には交通インフラは寸断される。そのため、消防車や救急車、そして緊急物資の輸送などには支障があり、被災者の救援や支援が困難になる状況が予想される。これが背景となり、犠牲者の数が増大する可能性も大きい。
そうした状況で期待されるのが無人のドローンの使用である。ドローンは車などの普通の交通手段では行くことの困難な被災地に緊急物資や医療物資を空輸することができるだけではなく、被災者の発見や消火活動の支援などでも活動が期待されている。いま政府は30キロまで搭載可能なドローンの開発を支援している。将来は100キロを越える搭載重量のドローンを開発するとしている。
非常に高価で、熟練したパイロットが必要な一般のヘリコプターに比べて、ドローンはコストも安く、また比較的に短期間で操縦者が養成できるため、災害時に大量のドローンの導入が可能になる。このようなドローンは、これからの巨大災害救済の切り札となる可能性が高い。
しかしながら、こうしたドローンにも問題点がある。導入されるドローンの数が増えると、それらが衝突して事故を起こさないように管制する必要があるのだ。もちろん、こうしたドローンの管制システムは構築可能だ。だが、災害時に管制のシステムが有効に機能するためには、単一のサーバが管理する中央集権的なシステムでは問題がある。サーバが災害で破壊されてしまうと、ドローンの管制は不可能になるからだ。
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