▼「小泉進次郎大臣の言動は、計算なのか、天然ボケなのか?」
スペインのマドリードで行われた国連の「気候変動枠組み条約」締約国会
議(COP25)では、石炭火力発電を止めないばかりか、新規建設や外国へ
の販売を進めている日本への批判が集中しました。
会議に参加した小泉進次郎環境大臣には、会議の前には「化石賞」、つま
り化石燃料に依存している状況を皮肉った賞が贈られていますし、自分の演
説では、「石炭政策について世界的な批判は認識」していると言いながらも、
石炭政策に関しては「新たな展開を生むには至らなかった」と述べています。
(中略)
その小泉大臣の姿勢については、「環境派」のイメージダウンなどという
報道がされています。表面的な印象としては、そうなるのかもしれませんが、
では、仮にも「将来の総理候補」と言われる小泉大臣としては、どのような
計算で動いているのでしょうか?
可能性の1は、「排出ガス削減」というタテマエと、「原発稼働はイヤな
ので、現実は石炭」というホンネの間を、ユラユラと行ったり来たりしてい
るという見方です。つまり、世論には「もしかしたらこの人はやってくれる
かも?」という期待を持たせつつ、政財界の中では「無理にタテマエに走っ
て自爆するなよ」と釘を刺されている、そうした矛盾した姿を見せて、それ
なりの好感度を維持しながら行こうという作戦です。
安倍総理の「原発政策」がこれに似ています。この人の場合も与党として
のタテマエは「原発再稼働」で、「地元が了解してくれて進むのならそれは
それで結構」だとしながらも、世論のホンネである「再稼働もイヤ」という
声を敵には回したくないので、奥さんは反原発だという二重イメージを振り
まいたり、積極的に再稼働は言わないし、まして地元の反対の声に対して
「矢面に立つことはしない」という「のらりくらり」をやっているわけです。
つまり、小泉大臣と安倍総理の「ノラクラ」を足すと、国外には「タテマ
エは脱炭素で行きたいけど、できません」という謝罪をやり、国内には「再
稼働イヤでしょ。分かりますよ」という暗黙のメッセージを出し、更に政財
界には「再稼働は地元が同意したら是非」と言いつつ、「再稼働推進の旗振
りはやらない」ということで世論を敵に回さないようにする、そんなメカニ
ズムの中で動いているという考え方です。
可能性の2番目は、三浦瑠麗さんなどが指摘しているのですが、小泉氏は
「意図的に外圧を呼び込んでいる」という説です。つまり、国内的には「再
稼働は絶対イヤ」で閉塞しているわけですが、そこに「海外からは脱炭素へ
の方向転換を」という圧力が猛烈だという「外圧」を自分で受け止めるパフ
ォーマンスをしながら、暗黙のうちに改革の方向性を落とし所に持っている
という見立てです。
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