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【Vol.305】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「「かんぽ生命」スキャンダル、3つのナゾとは?」  かんぽ生命に関しては、高齢者をターゲットに不適切な販売が行われてい たというスキャンダルが出たと思ったら、今度は、その問題に対する総務庁 の「処分案などの情報」がかんぽ生命側に「漏洩していた」というスキャン ダルが飛び出しました。  その結果として、総務省の鈴木茂樹事務次官がクビになっています。どん どん悪が暴かれて、どんどんウミが摘出されているようで、何となく「良い ニュース」のように受け止められていますが、本当なのでしょうか?  どうもこのニュースの全体に不自然な感じがしてなりません。3つ考えて みたいと思います。  1つ目は、今回の「情報漏洩」です。報道によれば、漏洩の対象はかんぽ 生命の親会社にあたる日本郵政の鈴木康雄副社長が相手で、その鈴木康雄副 社長が10年前に総務省の事務次官だったことから、「同じ総務省、同じ郵 政出身、同じように事務次官まで上り詰めた」関係で、しかも10年の差の ある先輩・後輩だったので、「情報漏洩」があったというのです。  ですが、よく考えてみれば、悪いことをしたので処分するという情報を事 前に漏洩しても、そんなに実害はないはずです。特に今回の不適切販売の問 題では、少なくとも証拠隠滅はできないように監査がスタートしているはず です。  また「どのぐらいの処分になるのか」が事前に漏洩していたとして、該当 する人物をコッソリ左遷しておけば、処分を逃れることができるとか、ある いは処分対象のポストにある人物を異動させて、その人物に「代理で処分さ れてもらう」というようなヤクザまがいの行動がされるということも、さす がに無さそうです。  処分案が事前に漏れている・・・というような言い方をすると、ずいぶん スキャンダラスに聞こえますが、よく考えると、この問題はそれほど深刻で はないと思われます。  むしろ、怪しいのは「もっと前から総務省の行動が郵政サイドに漏れてい た」という可能性です。それこそ、問題が暴露されるほとんど最初の時点か ら監督官庁の動きがバレていたとか、あるいは郵政サイドと「ツーカー」で やっていたとなると、これは深刻です。それこそ証拠隠滅など、悪質な行為 が起きていた可能性があるからです。その辺を曖昧にして、高市大臣のパフ ォーマンスで幕引きというのでは、余りにお粗末です。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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