「お正月の原風景」
ご通行中の皆さま、新年明けましておめでとうございます。さて、ここに陳列されましたるは、幸せを呼ぶ鶴亀でございます。鶴は千年、亀は万年、あなた百までわしゃ九十九まで、共にシラミのたかるまで。三千世界の松の木が枯れても、おまえさんと添わなきゃ娑婆に出て来た甲斐がない。七つ長野の善光寺、八つ谷中の奥寺で、竹の柱に萱の屋根、手鍋下げてもわしゃいとやせぬ。信州信濃の新蕎麦よりも、あたしゃあなたのそばがいい。 あなた百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまでというのがホント。もしもこれで買い手がなかったら貧乏人と思って諦めます。右に行って井筒橋、左に行って三ケ日、右と左の泣き別れだ‥‥というわけで、この寅さんの威勢のいい「啖呵売(たんかばい)」の口上は、1年前の2019年1月2日に配信した第5号の「今週のトピック」、「寅さんのいたお正月」でも冒頭で取り上げました。
2018年12月に、このメルマガを創刊したばかりだった当事のあたしは、初めて迎える新年号で、何かお正月らしいテーマを取り上げようと思いました。そこで思いついたのが「寅さん」でした。映画『男はつらいよ』は、もともとは1年に2回、お正月と夏休みに公開していましたが、やっぱり「お正月映画」としてのイメージが強いからです。
今は核家族の時代なので、同じ家で暮らしていても、家族それぞれがバラバラに好きなことをやっています。でも、あたしの生まれた昭和40年代は、家族全員で食卓を囲み、家族全員で1つのテレビを観て、日曜日には家族全員で出掛けるのが普通でした。これは、家に1台しかテレビがなかったとか、今よりレクリエーションの選択肢が少なかったとか、そうした物理的な理由もありましたが、あたしは、それだけじゃなくて、今よりも家族の絆が強かったような気がしています。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)