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週刊 Life is Beautiful 2019年12月31日号

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん 2020年の展望(2) 先週、2020年の展望というタイトルで、AR/VRおよび自動運転について書きましたが、他にも語っておきたいトピックがあります。 ドローン ドローンと一口に言っても、様々なものがありますが、私が大きな期待を寄せているのは、これまで大きなものを使わなければならなかったものを、小型の(もしくは超小型の)ドローン(自動操縦で自律的に動くもの、必ずしも空を飛ばなくても良い)を大量に導入することにより、より安価に、かつ、進化のスピードの早いものに変える、という産業構造の変革です。 分かりやすい例が、農薬散布です。これまでは、人間が運転する飛行機(もしくはヘリコプター)で大量に散布するのが当たり前でしたが、高価で、かつ、狭い場所に散布することは出来ないため、ある程度の規模を持った農場でしか使えませんでした。 自動運転のドローンを使えば、小規模な農場でも使えるし、必要な場所に最低限の量だけを散布することが可能なため、農薬の使用量も大幅に減らすことが出来ます。それだけでなく、ドローンを使って、作物の生育状況や健康状態を監視したり、鳥を追い払うことすら可能です。 さらにドローンが進化すれば、葉っぱにとまった害虫(バッタ、カメムシなど)を一匹づつ見つけて、マイクロレーザーで焼き殺すなども可能になります(それが可能になれば、農薬が不要になります)。ひょっとすると、さらに小型化して、ミツバチに変わって、花粉を花から花へ運んで受粉を促すようになる可能性すらある(というかそんな研究開発をするべきだ)と私は考えています。 つまり、これまで人間が操縦する飛行機やヘリコプターがしていた仕事を、自動操縦の小型ドローンに行わせることにより、コストを大幅に下げるだけでなく、これまでのアプローチでは不可能だった方向への進化を起こすことが可能になるのです。 この軸で考えると、同じような進化を、配送(大きなトラックで複数の荷物を一度に運ぶ代わりに、ドローンで一つ一つを配送)、移動(人間が運転する電車・バス・タクシーの代わりにロボット・タクシー)、兵器(飛行機・ヘリコプター・戦車・ミサイルの代わりに大量のドローンで攻撃)、警備(監視カメラと警備員の代わりに、複数のドローンで監視・警備・撃退)、遭難者・被災者・密猟者の捜索・監視(飛行機やヘリを使う代わりに、大量のドローンで捜索)、スポーツ中継(固定型のカメラの代わりにドローンで撮影)、漁業(網で根こそぎ獲る代わりに、ドローンを使った環境に優しい漁業)など、様々な分野で革命を起こすことが可能になります。 ちなみに、この「小さくて進化の早いものが、大きくて進化の遅いものを置き換えてしまう」現象は、過去にも色々な業界で起こっています。 メインフレームとパソコンの関係は私の業界では良く取り上げられる典型的な例ですが、電力業界における、原子力発電と太陽光パネルの関係も同じです。サービス業ではありますが、スーパーとコンビニにもそんな関係があります。 一つのものを作るのに、何億円(原発の場合は、何千億円)もかかる場合、投資したお金を回収するためには、何十年も使い続ける必要があり、どうしても進化のスピードが遅くなってしまうのです。逆に、小さなものは、参入障壁が小さく競争が激しいし、大量生産の効果もあるので、進化のスピードも早いし、コストも下がり続けるのです。

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