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【Vol.307】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「イランによるウクライナ機誤射、あえて陰謀論を考える」  2019年12月28日に発生したイラク領内でのシーア派武装勢力によ るテロに対する報復として、米トランプ政権は、イランの革命防衛隊内のコ ッズ部隊司令官であるカシム・ソレイマニ氏を殺害しました。イランの行動 は素早く、1月8日にはイラク領内2箇所の米軍基地に弾道ミサイルを撃ち 込みました。  ところが10日に行われたトランプ大統領の会見では、イランの攻撃に関 しては人的被害は皆無であったと言明、ひとまず軍事攻撃の応酬は沈静化と いう見方が広がったわけです。  短期的ではあるものの、危機は沈静化しているのですが、その一方で不気 味なのが、ウクライナ航空機撃墜という事件です。最終的にイランは「誤射 を認めて謝罪」したわけですが、一体どうしてこんな惨事が発生したのでし ょうか?  1つの可能性はパイロットのエラーです。イラン上空が「敵機への最大限 の警戒」体制にある中で、どうして強行離陸したのか、これは一番の謎です。  2番目は、これは全くの空想的な陰謀論ですが、トランプがウクライナの ゼレンスキー大統領に「弾劾問題でこれ以上、自分に不利な証言をするな」 という脅迫メッセージとして民間機撃墜を仕掛けさせたという可能性です。 この話が成立するには、トランプとイランの(恐らくは穏健派)との間に例 外的な地下のコミュニケーションルートが成立していなければ不可能で、基 本的には発想として荒唐無稽なのですが、トラの場合は「もしかしたら」と 思わせるところが怖いところでもあります。  ということで、現実的には3番目の可能性を考えなくてはなりません。つ まり、イランのロウハニ大統領派と、強硬派の確執の中で、「西側との対立 モードを沈静化させたくない」勢力が、直接アメリカに対して攻撃するので はなく、辺境の同盟国であるウクライナに対して仕掛けて様子を見たという ことは考えられると思います。もしかすると、そこにプーチンの影が重なっ てくるかもしれません。  それにしても奇怪な事件です。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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