マル激!メールマガジン 2020年1月14日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム
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マル激トーク・オン・ディマンド 第978回(2020年1月8日)
これが世界の左派が掲げる反緊縮政策だ
ゲスト:松尾匡氏(立命館大学経済学部教授)
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安倍政権が歴代最長の政権を維持できているのは、何と言ってもこれまでごとごと
く選挙に勝利してきたからだ。そして、その勝因は常にアベノミクスに代表される経
済政策だった。野党がアベノミクスへの対案を提示できていないことが、安倍政権の
長期政権化を可能にしてきたと言っても過言ではないだろう。
立命館大学経済学部の松尾匡教授は、アベノミクスに一定の評価を与えながらも、
それに対抗する経済政策を提示することは十分に可能だと語る。それが左派による反
緊縮経済政策だ。これは必ずしも日本に限ったことではないが、われわれはどんな政
策を実行するにも財源の裏付けが必要だと強く思い込まされてきた。そして財源とは
税収もしくは国債つまり借金によって賄われるものであり、借金が膨らみ過ぎると財
政破綻のリスクが増すので、緊縮政策をとらなければならないと教えられてきた。
ところがこの考え方に異を唱える勢力が世界で台頭している。イギリス労働党のコ
ービン党首やアメリカ大統領選挙に出馬中のバーニー・サンダース候補やオカシオ・
コルテス下院議員など世界各国の左派の間で反緊縮政策を提唱する勢力が支持を集め
ているというのだ。最近注目を集めているMMT(現代貨幣理論)もその流れを汲む。
日本では山本太郎氏のれいわ新選組が、反緊縮を前提とする再分配政策を主張して先
の参院選を戦い躍進している。
松尾氏によると、こうした反緊縮左派は、財政危機論は新自由主義者のプロパガン
ダだと主張する。財政危機を煽り緊縮財政を推し進めれば公的社会サービスが削減さ
れ、民間に新たなビジネスチャンスが生まれる。また、公有財産を切り売りすれば大
資本が儲かり、しかも新自由主義が目指す小さな政府が実現するといった具合だ。
反緊縮左派の考え方は、非常に明快だ。要するに、通貨発行権のある政府はデフォ
ルトリスクはまったくないので、財源が必要であれば通貨をジャンジャン刷って財源
を賄えばいいというのだ。そんなことをすれば大変なインフレになってしまうと考え
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