そもそも、「日産のクーデターとか、それに検察が手を貸している」という主張をしたが、「何を言ってるんだ!」と思う。日産の取締役による刑事告発の動機はクーデターに決まっている。一般に、刑事告訴・告発をする人たちは、私利私欲であったり、怨恨であったり、あるいは江戸の仇(かたき)を長崎で討とうとしたり、損害賠償請求を有利に進めようとしたり、さまざまな動機で刑事告訴・告発を行う。純粋な正義感からという人は少ない。
日産の取締役のうち数名が、「ゴーンがこれ以上トップでは会社がダメになる」と判断した。その理由はルノーと合併しようとしているからなのか、会社の数百億円を巧妙に取り続けているからなのか、あるいは両方かもしれない。
ゴーンを辞めさせるのに確実な方法は何か。「刑事告発が一番いい。世間も納得するし、代表取締役解任の根回しをしているうちにどんな妨害工作をしてくるか見当がつかない。彼は目的のためには手段を選ばない。違法行為も平気だ。おまけに頭がおそろしく良いのだから始末に終えない」と悩んだ末に刑事告訴・告発したと考えるのが合理的。
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修習生のころ、授業で聞いた東京地方検察庁特別捜査部(特捜)の検察官の言葉を今でも忘れない。「検事になったからには、特捜で金バッチ(国会議員)を挙げたい」。そう、はっきりと言った。
検察官は、法の正義を実現するために薄給の中、強い正義感で、職務を全うしている。彼らにとって、悪い政治家を挙げるのは、正義感と功名心の両方を満たしてくれるものだ。
踏ん反り返って、えらそうにしている人が、とてつもなく悪いことをして、大金を稼いでいるのであれば、それを絶対に挙げたい。それが検察官としてのプライドであり、モチベーションだ。
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妻のキャロルに長期にわたって会わせてもらえなかったという話。記者会見で「9カ月、妻から引き離された。理由もなくです」と語り、世間の同情を引こうとした。
そもそもなぜ妻のキャロルと接触を禁止されていたのか。それは、キャロルにはオマーンルートの共犯ではないかとの重大な疑いがあり、証拠隠滅のおそれが高かったからだ。
実際、キャロルはオマーンルートの特別背任事件着手の約3カ月前から、重要な事件関係者にレバノンで面会するなどして、多額の口止め料を支払い、証拠隠滅を図っていた疑いがある。
だからゴーンの保釈条件の中に妻のキャロルと会ってはならないという条件が入ったのだ。一般的な保釈条件には、奥さんに会わないというのはない。
そのことをゴーンは弁護人から十分に聞いているはずだ。彼は百も承知で「家族と6週間も会えなかった」「クリスマスを独房で1人で過ごした」などと「悲劇」を演出し、自分はひどい仕打ちを受けていると世間に誤解を与えようとしている。
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弁護士からすると、依頼者がとんでもないということ。
自分の違法行為を手助けさせるために弁護士を使ってやらせた。こういうことをする自称被害者は時々いる。都合のいいことだけを言い、違法な目的のために弁護士を使う。
私であれば、出国した時点で、「警備会社に対して警告したのは、こんな違法目的のためだったのか」と怒り、もらっていた着手金は、例えば95%を返金して即辞任するだろう。
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