マル激!メールマガジン 2020年1月15日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム
https://www.videonews.com/ )
──────────────────────────────────────
マル激トーク・オン・ディマンド 第979回(2020年1月11日)
ゴーン国外逃亡はわれわれに何を問うているのか
ゲスト:郷原信郎氏(弁護士)
──────────────────────────────────────
暮れも押し迫った2019年12月31日の早朝、日本の刑事司法史上前代未聞のショッキ
ングなニュースが日本を駆け巡った。金融商品取引法違反や特別背任などの容疑に問
われ保釈中だった元日産のカルロス・ゴーン会長が、何らかの方法で日本を密出国し
レバノンのベイルートに到着したというニュースだった。
そして1月8日、ゴーン氏が初めてメディアの前に姿を見せ、日本の刑事司法制度批
判やメディア批判、日産、警察、政府による自身追い落としのための陰謀論、自らの
身の潔白などを2時間近くに及ぶ記者会見で一気にまくし立てた。
その間政府は、官房長官から法務大臣、ひいては東京地検までが総出で、ゴーン氏
の逃亡が決して看過されるものではないことや、ゴーン氏が逃亡の理由としている日
本の刑事司法の問題点は逃亡を正当化するための一方的な言い分であり、日本の刑事
司法は正当かつ合法な制度が正常に機能していることなどを繰り返し主張した。
問題は日本の刑事司法制度だ。今回、ゴーン氏が脱走に成功したことで、政府は保
釈基準の厳格化を再検討すると言ってみたり、密出国という違法行為を犯したゴーン
氏が主張する日本の刑事司法制度の問題点は「一方的で根拠に乏しい」もので、「日
本の刑事司法制度は正当かつ正常に運営されている」などと必死で現在の刑事司法制
度を擁護している。
保釈基準については、日本の保釈基準が国際標準と比べて緩いということは決して
ない。むしろこれまでの、「否認をする限り保釈しない」方針が異常だった。問題は
これまで人質司法があまりにも長く当たり前のように続けられてきたために、司法行
政が保釈された刑事被告人をいかに適正に管理するかというマインドがまるで欠落し
ていたことだ。
また、日本の刑事司法がどれだけ問題を孕んでいようが、ゴーン氏の国外脱出が正
当化されないことは言うまでもないが、同時に彼の言い分が国際社会では一定の支持
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)