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佐々木俊尚の未来地図レポート 2020.1.20 Vol.585
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【今週のコンテンツ】
特集
自動車の未来はシリーズシステムからネクサスシステムに移行する
〜〜テクノロジの時代に「歩く」ということはどう変容するのか(後編その1)
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
自動車の未来はシリーズシステムからネクサスシステムに移行する
〜〜テクノロジの時代に「歩く」ということはどう変容するのか(後編その1)
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テクノロジによって「歩く」ということがどう変容していくのか。このテーマの後編です。
歩くことも含めて、自動車や鉄道、バス、自転車などでの移動ということにまで視点を広げて考えてみたいと思います。ジョン・アーリという社会学者は、『モビリティーズ 移動の社会学』(吉原直樹・伊藤嘉高訳、作品社、2015年)という2007年(原著)の本で、自動車の移動について「シリーズシステムからネクサスシステムへと変化しつつある」という興味深い論考をしています。
シリーズというのは「連続」というような意味ですね。歩くという行為は、常に歩いている土地や場所と密接につながっていて、連続的です。私の住んでいる渋谷から都心まで歩いていこうとすると、その途中で通過する表参道のおしゃれな街並みや、青山通りのオフィス街、永田町の政治の街などを踏みしめ、それぞれの街の空気を味わいながら進んでいくことになる。
これに対して、鉄道やバスなどの公共交通機関は連続的ではありません。渋谷から東京メトロ半蔵門線に乗れば、一気に大手町にまで運ばれてしまいます。座席に座ることができれば眠っていても大丈夫だし、そもそもメトロだから景色はなく、途中通過する街の空気を感じることもないのです。そういう意味で、公共交通機関は結節点と結節点を結ぶようなもので、これをアーリは「ネクサスシステム」と呼んでいるのです。nexusというのは連鎖や結節などを意味する英単語です。
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