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高野孟のTHE JOURNAL Vol.429 2019.1.20 ※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1030》
日米同盟で「宇宙・サイバー空間」への中国進出を阻止する?
――多国間のフラットなルール形成を目指すべきなのに
【2】《CONFAB No.429》
閑中忙話(1月12日~18日)
【3】《FLASH No.334》
日本防衛には使われない海兵隊の基地が沖縄に必要なのか
――日刊ゲンダイ1月16日付から転載
【4】《shasin No.382》付属写真館
■■INSIDER No.1030 2019/01/20 ■■■■■■■■■■■■■■■■
日米同盟で「宇宙・サイバー空間」への中国進出を阻止する?
――多国間のフラットなルール形成を目指すべきなのに
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米国発で日本にも蔓延する「中国脅威論」の最新バージョンの舞台
は、「宇宙・サイバー空間」である。
トランプ政権は19年12月に、空軍の宇宙関係部隊1万6000人を切り離
して独立した「宇宙軍」を新設し、軍事衛星の運用・防衛などを専門に
担わせることにした。独立の「軍」としては、1947年に陸軍航空隊を切
り離して「空軍」を創設して以来72年ぶりの新設。陸海空の3軍、海兵
隊、沿岸警備隊と並ぶ「第6の軍」となるわけで、トランプ大統領の力
の入れようが分かる。12月20日に行われた発足式でトランプは「宇宙空
間は新たな戦闘領域だ。我々が宇宙空間を主導していくのだ」とブチ上
げた。
これを受けて、トランプの追随者である安倍晋三首相は、馬鹿げたこ
とに、早速に20年度に航空自衛隊の傘下に「宇宙作戦隊」を発足させ、
米宇宙軍の言わば下請けとして地上レーダーなどを通じた衛星監視に取
り組むことにし、その予算を計上した。
このような動きは、言うまでもなく中国の宇宙進出に対抗しようとす
るもので、今年1月1日日付毎日新聞の第1面左肩から第2面の全頁を
費やした新春大特集の見出しを借りれば、「中国先行に危機感/月面、
覇権争いの最前線」という日米政府の現状認識の結果である。しかし、
問題をこのように、宇宙でも覇権争いが激化しつつあるかのように捉え
ること自体が致命的な間違いで、すでに南極大陸がそうであるように、
北極海も、海洋とその深海底も、漁業資源も、大気・気象も、宇宙も月
面も、人類普遍の共有資産として、いかにして共同で調査・研究・進
出・活用を進めていくかの多国間のルール作りを進めることが、21世紀
的な国際社会のテーマである。
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