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第96回 健康と医療の分野の「STO」
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▼健康と医療の「セキュリティー・トークン」
もう2年近く前の一昨年の5月に配信した第6回の記事では、健康と医療の分野におけるブロックチェーンの適用と、この分野における「ICO」、ならびにその時点で有力なプロジェクトを紹介した
特に医療では、患者カルテ、処方箋、臨床試験、診療報酬、医学研究など、あらゆるデータは個別の機関や組織によって繁雑に管理されているので、データをブロックチェーンの分散台帳に一括して管理することで、はるかに効率的なシステムが構築可能となった。ブロックチェーンは、次のような革新的な変化を医療分野に引き起こすと見られている。これはすでに第6回の記事で紹介したが、改めて見て見よう。
1)医療データの管理
個人の病歴や医療機関受診記録の電子化は徐々に進んでいるが、これをブロックチェーンで一括管理すると、個人の健康に関するすべてのデータが安全に記録できる。すると、この記録を必要とするあらゆる医療機関がこれを参照できるため、個人の病歴や治療記録が確実に共有される。
また、患者の許可さえあれば、医療の個人データは研究者にも参照が許されるため、新しい治療法や医薬品の研究に有用なデータを即座に提供することが可能となる。
2)医薬品の管理とサプライチェーン
膨大な種類の医薬品を間違いないように管理するのは難しい。しかし、「RFID」という小型センサーを医薬品のパッケージに内蔵させ、それをブロックチェーン上に記録すれば、必要な医薬品をすぐに見つけることができる。これは、ひとつの医療機関内での医薬品の管理に活用できると同時に、医療機関全体のネットワークにおける医薬品の管理も可能になる。
またブロックチェーンは、製薬会社から医療機関に医薬品を配送するときのサプライチェーンの管理にも有効だ。医薬品の所在がすぐに把握できる。
3)請求書や診療報酬の管理
患者の請求書や診療報酬などの医療事務にかかわるすべてのデータをブロックチェーンで管理すると、これまでのような紙ベースの繁雑な管理は一切必要なくなる。これにより、医療機関の繁雑な事務がかなり減少するので、その分コストの削減が可能となる。これは医療機関の経営にとって、大きなメリットになる。
4)医学研究
現在、あらゆるタイプの医学研究がさまざまな医療機関や研究機関によってバラバラに行われている。そうした研究の過程や成果がはじめて公表され、明らかになるのは、医学ジャーナルや研究誌、そして分野ごとに開催される学会を通してだ。
しかし、すべての機関のあらゆる医学研究がブロックチェーンで管理できれば、どんな研究でも必要なときに参照することができる。
5)データのセキュリティー
電子カルテや超小型センサーの「RFID」など、現在大多数の医療機関でITが活用されている。しかし一方、インターネットを介して医療データが不正にアクセスされたり、改ざんされる可能性はどうしても高まってしまう。たとえばアメリカでは、2015年から16年にかけて1億4000万人の医療データが不正にアクセスされた。
このような状況で、医療に関するあらゆるデータをブロックチェーンで管理すると、不正アクセスや改ざんなどをかなりの程度防止することが可能になる。
●「STO」の特徴と独自のプロジェクト
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