マル激!メールマガジン 2020年1月29日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム
https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第981回(2020年1月25日)
トランプとイランとイスラエルと日本
ゲスト:高橋和夫氏(放送大学名誉教授)
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2020年はイランとアメリカが「すわ戦争に突入か」といわんばかりの物騒なニュー
スで始まった。
1月3日にアメリカがドローン攻撃でイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官
を殺害したことを受け、8日にはイランがその報復としてイラク国内にある米軍基地
にミサイルを打ち込んだのだ。
レバノンに逃亡したカルロス・ゴーン氏の1月8日の記者会見の2時間後、ワシント
ンではトランプ大統領の重要な記者会見が予定されていた。一時は「イランとの戦闘
の開始を発表するのでは」との観測も流れるなど世界に緊張が走ったが、幸いイラン
のミサイル攻撃は事前にアメリカに察知され、アメリカ側に犠牲者は出ず(イランが
アメリカに内々に事前警告していたとの情報もある)、トランプ大統領は会見で当面
の軍事行動の終了を発表した。今のところ戦争突入は回避されているようだ。しかし、
今回の双方が軍事行動に出た結果、イランの核合意は完全に崩壊し、アメリカも経済
制裁の強化を決定するなど、両国の緊張関係が更に悪化していることは間違いない。
しかし、それにしてもなぜ今、アメリカはイランと事を構える必要があるのだろう
か。確かにイランは今、隣国イラクへの影響力を強め、シーア派が支配するイラクは
事実上イランの属国と言っても過言ではないような状態にある。そうした状況の中で、
イラクに駐留する米軍に対する散発的な攻撃やサボタージュを繰り返し、米軍が手を
焼いているのも事実だ。そうした作戦にソレイマニ司令官が関わっていたというアメ
リカの主張も、恐らく根拠のあるものだろう。
しかし、アメリカの真意はそこではない。今やアメリカの中東政策が、単なる国内
政治の材料でしかなくなっていることを見誤ってはならない。中東の専門家で国際政
治学者の高橋和夫・放送大学名誉教授は、アメリカの中東政策を理解するためには、
トランプ政権のエネルギー政策とイスラム諸国からの入国禁止、エルサレムへの首都
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