今回のメルマガは、昨年11月にドイツのヴォルフェンビュッテルで開催された錬金術と大学をテーマにした国際会議で招待発表した新作論考の邦訳です。
「ヴィッテンベルクのダニエル・ゼンネルトとキミア、そして神学論争」
1. はじめに
ヴィッテンベルク大学のダニエル・ゼンネルト(Daniel Sennert, 1572-1637)は、錬金術と化学を恣意的に分離しない知の伝統「キミア」の擁護のために、博識で影響力ある著作を出版した最初期の医学教授の一人である。彼の著作は、彼の同時代人や後続する世代に多大なるインパクトを与えた。
ゼンネルトは、近年さまざまな分野で歴史家たちの関心を集めている。英国の化学者ロバート・ボイル(Robert Boyle, 1627-1691)にとって、ゼンネルトは粒子論的かつキミア的な議論のおもな源泉としての役割をはたしたが、そこには新たな光が当てられている。質料形相論と原子論が交錯する彼の霊魂論は最近の幾つかの研究のテーマとなり、彼の発生論と哲学者ライプニッツ(Leibniz, 1646-1716)のモナドの理論の関係も探求されている。
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