マル激!メールマガジン 2020年2月12日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム
https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第983回(2020年2月8日)
プラスチック汚染対策をレジ袋有料化で終わらせないために
ゲスト:高田秀重氏(東京農工大学大学院教授)
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廃棄プラスチックによる環境汚染の深刻化を受けて、日本でもようやく2020年7月
からレジ袋の有料化が義務づけられる。レジ袋に対して既に何らかの法規制を実施し
ている国は世界127カ国にのぼることから、日本も遅ればせながらようやくその仲間
入りを果たすことになるわけだが、レジ袋の消費量は年間約20万トンで日本の年間廃
棄プラスチックの総量の2%程度に過ぎない。レジ袋規制は生活に馴染みのあるとこ
ろに規制を入れることで、国民のプラスチック廃棄に対する意識改革を図るというシ
ンボリックな意味合いが大きい。それを入り口に「プラスチックとは何か」をあらた
めて考えてみることが重要だ。
実際、プラスチックの使用量はレジ袋よりも、レジ袋の中に入る食品やその他の商
品の包装容器の方が遙かに多い。特に日本は一人あたりの包装容器のプラスチック使
用量がアメリカに次いで世界で二番目に多いプラスチック消費・廃棄大国だ。しかも、
これまで日本を含む世界のプラスチックゴミを資源として輸入してくれていた中国が、
3年前から輸入禁止に転じたが、日本はプラスチックの使用を減らすのではなく、新
たなゴミの行き先をインドネシアなどに求めることで、これまで通りの大量消費・大
量廃棄を続けているのが実情だ。
プラスチック汚染は、画になりやすかったりイメージしやすいなどの理由から、海
洋動物の体内から発見されたレジ袋やストロー、プラスチック片などが話題になるこ
とが多い。それも大きな問題には違いないが、廃棄プラスチックの問題は実際はそれ
よりも遙かに根深く、また広汎に広がる深刻な問題だ。それはプラスチックと呼ばれ
る物質の多くが、分解されて最終的には1ミリ以下のマイクロビーズと呼ばれる状態
となり生態系を循環し続けるため、われわれは今、飲料水や食品などを通じて、大量
のプラスチックを体内に取り込んでいるからだ。
体内に入ったプラスチックの健康への影響については、まだわからないことも多い
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