IMFに指導を受けた日銀
IMF(国際通貨基金)は、対日4条協議終了後にスタッフ・リポートをまとめ、これを2月10日にワシントンで発表しました。そこでは日銀に対して、金融政策の目標を包括的に見直す必要がある、と指摘しています。国内でも日銀の政策に見直しを求める声が上がっていますが、日銀はその声を無視してきました。しかし、相手が米国財務省と近いIMFとなると、そうはいきません。
「物価目標偏重で信頼性に傷」
IMFの診断によると、日銀は物価安定目標の早期達成にウエイトを置きすぎ、物価引き上げを最優先したために、金融市場の安定など、他の目標とのバランスを失っていると言います。例えば、物価目標偏重が続く中で、マイナス金利などが金融機関の収益を悪化させ、金融市場の安定、金融機能の不全が懸念される副作用を大きくしてしまったと言います。
そればかりか、物価目標の早期達成を焦るあまり、日銀のインフレ予想が非現実的なほど楽観的で、結果的に毎回これが未達のまま、予想が下方修正を繰り返してきました。それが日銀の信頼性に傷をつけていると言います。さすがに、最近では見通し期間中に2%の目標を達成するという楽観見通しはしなくなりましたが、それでも直近見通しでは来年、再来年に1%を超えて目標に近づく予想を提示しています。
市場は「いずれその見通しも下方修正される」と見て、日銀の予想を信用していません。市場のみならず、企業が予想する物価見通しも、インフレ率はせいぜい1%程度と見ていて、日銀の見通しが経済主体に影響を及ぼすことにも失敗しています。
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