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【Vol.313】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
▼「GDPマイナス6.3%の意味」  2019年10から12月期の実質GDP成長率(年率換算)がマイナス 6.3%ということで大騒ぎになっていますが、どう考えたらいいのでしょ うか? 考えてみれば、2014年の消費税アップ(5%から8%)のとき は次のような経緯となっていました。 ・消費税率アップは4月1日。 ・4月から6月期の実質GDP成長率はマイナス7%がコンセンサス(市場 アナリストの見通し) ・でも、実際はマイナス7.4%(確定値)。速報値はマイナス6.8で、 まあ想定内という反応。 ・だが、問題は7月から9月で、コンセンサスがプラス2.2%だったのが、 前年比マイナス1.6%で、これがショックとなり、政権にもトラウマに。  ということです。では、今回はというと、 ・消費税アップは10月1日。 ・発表直前のコンセンサスはマイナス3.8%。 ・ところが、2月17日の速報値はマイナス6.3%で大ショック。  という感じになっています。  この2014年と19年の違いですが、次のように整理できると思います。 ・14年は5%から8%(一律)とアップ幅が大きかった一方で、19年は 8から10%と幅が小さいし、軽減税率やポイント還元もあって、駆け込み 需要と反動は少ないはず。 ・一方で、デフレ体質は深く染み付いており、消費マインドは14年より1 9年にかけて一段と悪化。 ・加えて、台風被害による需要スローダウン、生産スローダウンといったネ ガティブ要因も。  ということがあって、落ち込みが大きくなっているのだと思います。  更に言えば、2014年から19年にかけての日本経済は、例えば北米へ、 そして何よりも武漢を中心とした中国へと、猛烈なスピードで生産や研究開 発を空洞化させてきたのだと思います。  そうなると、国内に残ったGDPというのは個人消費、一部の設備投資に 加えて、巨大な観光産業(約40兆円、GDPの8%程度)が中心になって いるわけです。ですから、税率アップの反動と、台風の影響は、5年前以上 のインパクトがあったと考えられます。  そう考えると、これはアベノミクスの失敗だとか終焉だというような無責 任な議論ではなく、日本型空洞化の進行によって、日本経済の中身がよりス カスカとなり、結果的に台風や税率アップの影響をモロに受けたということ になると思います。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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