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■■下品化する社会とどう付き合うか
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メンタル面での不調を訴える人が増えている。1人ひとりが自分と
家族、友人たちをメンタル面での疲弊から守るために具体的に何か
をしなくてはならない。
「私とは、私とそれを取り巻く環境である」という言葉がある。つ
まり「私」は心を持っている自分自身と、自分を取り巻く環境の2
つの総体であり、相互作用なのだ。
だから「メンタルを強くしたい」「心を折れないようにしたい」と
考えるなら、やるべきことは2つだ。まず、自分の内面を強くする。
心を硬くするのではなく、しなやかに柔らかくするということだ。
頑なな心は、一見強そうだが、環境が変化すると折れてしまうもの
だ。一方、しなやかで柔らかい心は、環境の変化や圧力があっても
折れることはない。
もう1つは、自分を取り巻く環境を変えていくことだ。できる限り
ストレスの少ない、快適な環境に変えていくことが大事なのだ。こ
れら2つを意識的に変えていくことが、強く生きる上で大事なのだ。
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心が折れそうなことがあった時は、その原因が自分の内面的か、環
境の影響か、あるいはその両方なら、それぞれどれくらいの割合か、
それらを見極めて対処する必要があるのだ。
もちろん、内部因子には遺伝の影響もあるが、環境づくりに心がけ
れば、発病しないこともできる。心を病んだからと言って一概に自
分を責めるのは間違いだし、環境のせいだけにするのもおかしい。
しなやかで折れない「強い心」を作るには、自分自身の考え方や心
の構え方を変えると同時に、折れにくい環境を整えるように心掛け
ることが肝要なのだ。
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情報感度の高い人ほど、世の中の動きに乗り遅れると大変なことに
なると危惧し、知らないうちに流行やコマーシャリズムに乗せられ
てしまう。
本当は他者の思惑にのせられているのに、主体的な行動だと思い込
んでいる。いわば「前のめりな生き方」だ。情報社会の中で、何か
に突き動かされるようにして、前に前にと進んでいく。
スピードは加速度的に上がり、最後は次の足が間に合わず倒れてし
まう。あるいは、何か障害物にぶつかってしまう。つまり挫折した
り、メンタルを病み、自滅してしまう。
立ち止まることができる力こそが教養だ。前のめりに突き進むので
なく、周囲の人たちが、社会が前のめりになって同じ方向に突き進
んでいる時、「あれ? おかしいぞ」と立ち止まるべきだ。
前のめりに情報に飛びつくと、ミスリードされていまう。まず立ち
止まって「なぜこんな情報が出てくるのか」「どこから流された情
報か?」「目的は何か?」を考えることが大事だ。
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世の中で言われていることが本当に正しいかどうかはわからない。
むしろ、いろんな思惑の中で、一部の人間に都合のいい論理が先行
していることも多い。
そこで「人よりも半歩遅れて進む」という考え方をお勧めする。少
し引いて物事を見れば全体像がはっきりする。そうして時間を稼い
で判断する。テンポの速い時代はそれくらいがちょうどいいのだ。
「前のめり」でがむしゃらに頑張っても、気がつくと誰かの思惑に
都合よく踊らされている可能性がある。そして知らずのうちに心身
ともに疲弊してしまう。
今のような閉塞感あふれる世の中では、むしろ中世的なものの考え
方が、突破口を開く。神のような宗教的権威が中心だった中世の論
理は、近代以降の合理性重視の時代の論理とはかけ離れている。
現代の価値観にどっぷりつかっていると、それだけが唯一と錯覚し
がちだ。だが、視野を広げ、時間と空間を広げれば、考え方や価値
観は1つでないことに気づく。それが心を柔らかく、強くするのだ。
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