石川ともひろの永田町早読み!
/ 2020年3月1日発行 /Vol. 390
◆「新型コロナ」を教訓に「9月入学」を考えるべき3つの理由
新型コロナウイルスの影響は想像以上に大きく、消費を2兆円も下げてしまう事態になろうとしている。
日韓関係の悪化によって宿泊業や飲食業に大きな損失が出たが、今回はその比ではない。
日本に来ている3500万人の訪日観光客の中で中国人は800万人を超えるのだから、中国政府による団体観光客の渡航禁止措置が半年続けば、倒産するホテルや旅館、運送業は増加するだろう。 さらに、小学校、中学校、高校の臨時休校要請で、親の働き方にも影響が出るだろうから、経済活動の低下は避けられない。
東日本大震災並みに経済に悪影響が出ることは間違いない。
オリンピックの開催すら危ぶまれている。
こうした事態になった理由を、私は、政府の対策が後手に回ったことだと思っている。 だが、ここは政府にがんばってもらうしかないので、批判ではなく、今回の問題を教訓にして今後の日本が変えるべき点を考えてみたい。
それは、日本の社会制度をグローバルスタンダードに合わせることだ。
入学時期を9月に改めたらどうか。 世界を見回せば、9月入学の国は多い。 米国、英国、フランス、トルコ、ベルギー、モンゴル、ロシア、中国などは9月入学だ。 日本の大学や大学院は、外国人留学生からの学費収入で成り立っているところも多く、外国人留学生を広く受け入れるという観点から考えても、理にかなっている。
東大は2012年、9月入学を検討したが、結局実現できなかった。 東大だけが変更しても社会全体が変わらないかぎり難しいからだ。 「就職、国家試験など4月入学に合わせた制度を変えないかぎり、東大だけが実施するのは難しかった」と当時の浜田純一総長はマスコミに語っている。
受験生にとってもいい。 インフルエンザの最盛期はちょうど日本の受験シーズンに当たる。 インフルエンザで入試を受けられない子どもたちも少なからずいる。 風邪で自分の力を発揮できなかった子どもたちも、今までにたくさんいたことだろう。 2月、3月は雪のシーズンだから、北国では交通機関の乱れが最も多い季節となる。 ちょうどいま、入試制度の変革を討議中で、今後も一発入試制度が続くとは限らず、この議論が必要ない時代になるかもしれないが、いずれにしても海外との連携を考えると、9月入学への移行を国会で議論すべきだろう。
日本の気候変動も考慮すべきだ。
あきらかに日本の夏は暑くなっている。 日本全国で学校にクーラーを設置する学校が増えているのがその証拠だ。 クーラーなしでは勉強できない環境になってきている。 かつてと違い、身の回りがコンクリートやアスファルトで囲まれたことで、平均気温の上昇以上に学校が暑くなっている。 北海道でも夏は暑い。 日本の最高気温が北海道という日も多くなっていることはご承知のとおりだ。 暑い夏を思い切って海外並みに休暇とすべきということも検討してもいい。
そもそも、日本ではなぜ、4月入学になったのか。 この問いに答えているのが「チコちゃん」だ。
我が家の子どもたちも、NHK番組『チコちゃんに叱られる!』を毎週楽しみにしている。 近ごろは親も知らない知識を覚えてくるので油断できない。
2018年4月27日の第3回放送で、チコちゃんは4月入学が始まった理由について、「大蔵省のインチキだった」と答えている。 明治維新で西洋歴が採用されたころは……
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