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「リチェティ対フィチーノ:世界霊魂と生命の起源」(中編)

BHのココロ
  • 2020/03/02
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今回は、僕の第2著作『医学的人文主義と自然哲学:物質、生命、霊魂についてのルネサンス論争』(2011年)の第5章の後半をお届けしようと思ったのですが、分量が多いので二分割して、前半につづく「中編」としてお送ります。今回も比較的に複雑な議論となりますが、プラトン主義者フィチーノの詩的で自由な語りを、スコラ学者リチェティが厳格に吟味していく様子を垣間見ていただければ良いかと思います。 5. フィチーノと大地の霊魂  プラトン主義における二大潮流を分析したあと、リチェティは自然発生の作用因として星辰の影響を支持する人々に眼をむける。そのつぎに彼は、フィチーノによる「大地の霊魂」anima terrae の理論を吟味することになる。この理論は、フィチーノが主著『霊魂の不滅性についてのプラトン神学』(フィレンツェ、1482年)の第4書で大きく展開したものだ。まずリチェティは、フィチーノによる世界霊魂の学説とその宇宙論的な含意を説明する:  「われわれの祖父世代のイタリア人たちのなかでも、もっとも偉大なプラトン主義の改革者フィチーノは、この考えをさらに洗練させている。自然発生で生まれるすべての生物は、土元素と水元素の霊魂以外から直接的に生命を受けとることはない彼は判断した。この点において彼は、大半のプラトン主義者たちと見解を異にしている。なぜなら彼は、これらの元素の霊魂はこうした生物たちの自然発生の作用因であり、たがいに異なり、世界霊魂とも異なるとしたからである。まずはセネカの考えにも近いフィチーノの意見を聞くことからはじめよう。」

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