■鬼選択と鬼決意
働き方の「多様化」が叫ばれている。従来型の人事制度や勤務体系
では成り立たなくなっている。当たり前のように、辞令に従って生
きることは時代錯誤になりつつあるのだ。
やりたくない仕事や不向きな仕事をさせられて、ストレスを溜めた
り、仕事ができないというレッテルを貼られるのはおかしい。社畜
のような働き方に異議を唱えるべきだ。
合理的に考えれば、通勤時間は無駄だ。本気で仕事に取り組むなら、
場所など無関係なはずだ。ところが、多くの人が従来型の価値観に
漬かってしまったあげく、思考停止している。
今や「個を殺して組織の駒となれ」という働き方はもう通用しない
はずだ。そもそも人権蹂躙だ。仕事に人生を捧げるのはいい。だが、
会社に人生を捧げてはいけないのだ。
個人個人が希望通りの働き方ができる環境に身を置くことで、能力
が最大限に発揮できる。その結果、会社も発展していくのだ。自分
の働き方は、自分で決めるべきだ。
もちろん、自由には責任が伴う。だが、やりがいもある。少なくと
も、多様化を認め、その方向性を示す会社を選ぶべきだ。転職は、
その選択の自由を得る手段になるのだ。
★
企業のどこを見て取捨選択するべきか。もちろん、業種・職種、待
遇が大事であることはわかる。だが、その前に最優先しなければな
らない“条件”がある。
その第一条件とは「世の中の役に立つ」という“社会的な価値”が
高い職業かどうかだ。心から湧き上がるソーシャル・モチベーショ
ンを、自分が持てるかどうかだ。
雇用条件がよくても、オフィスが立派でも、業績が好調でも、その
目的が“自社ファースト”だと感じたら、即刻、転職先リストから
外すべきだ。
そんな会社では、一生懸命に働けば働くほど“良心”が疲弊してい
く。それでは長続きしない。転職は一世一代の重大な決断だ。社会
的意義のある仕事を、まずは選択するべきだ。
★
「転職したい」という人ほど、次のステップに踏み切れない人が多
い。「あと1年頑張ってから」「あと3年経験を積んで」など、時
間稼ぎと思えるほどの遅疑逡巡だ。
では、その期限には、確固たる根拠があるのか、本当に転職したい
のか疑いが晴れない。そういう人の中には、単に、決断を先延ばし
にしているとしか思えない人もいる。
「転職は思い立ったが吉日」だ。天命が降りてきたら即行動するべ
きだ。機は熟している。本能が「転職しろ」叫んでいるのだから、
その警告を無視すべきでない。
意味のない時間稼ぎはやめるべきだ。まさに今が「その時」なのだ。
このチャンスに一歩踏み出さなければ、いったい、いつ踏み出すの
か。このままでは一生涯、無期懲役だ。
★
心身共に充実した、旬な転職の時期に、転職への一歩を踏み出せな
いまま後悔する人たちがたくさんいる。40代を迎えた時、時代を超
えた実力が備わっていなければ、もはや潰しはきかない。
かといって、早計に目先の条件面だけで短絡的な横滑り転職を繰り
返していても進歩はない。景気や人気など、表向きの華やかさに誘
われ、ただ流浪しているようでは進歩どころか後退する。
キャリアダウンを繰り返すうちに、気がつけば誰も相手にしない、
ただの好好爺になるのがおちだ。そうなったら、もう後戻りできな
い。あくまでも、長期的視野から今を生きるべきだ。
「キャリア組」として生き残ることができる人は、チャンスを先送
りにしない人だ。もちろん、無計画にフライングもしない。未来志
向の達人になるべきなのだ。
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