石川ともひろの永田町早読み!
/ 2020年3月8日発行 /Vol. 391
◆賢者の書物から読み解く「コロナ」の教訓とは
世界はどう変化していくのか。
我々は何を克服すべきなのか。
我々は優れた社会学者によってこれらを学んできた。 私が小学生の時に父に与えられた本は、アメリカの作家・未来学者であるアルビン・トフラーの『第三の波』のマンガだった。 子どものころだったので、理解することは難しかったが、いまでもなんとなく覚えている。
トフラーは人類の発展を、農耕社会→産業革命→情報化社会という段階を踏んできたと説いた。 現在、「第四の波」としてAI時代の到来を指している学者も出てきている。
では、世界が長年にわたって克服しようとしてきた問題は何だろうか。 『サピエンス全史』『ホモデウス』など世界中でベストセラーを連発しているイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは、
1 飢餓
2 疫病
3 戦争
だとし、現在の我々はこれらの三つをうまく防ぐことができていると説いている。
確かにアフリカなど一部地域を除けば、飢餓で苦しむ人はだいぶ少なくなっている。 戦争も世界大戦が勃発するような状況はもう起きないだろう。 疫病も世界の医学は乗り越えてきた。
しかし、今回の新型コロナウイルスは世界経済を揺るがす疫病だ。
通常のインフルエンザによる日本の死亡者数は、毎年3000人を超える。 交通事故による死者数も、2019年は3000人を超えた。 自殺者数は2万人を少し下回るくらいだ。 一方、コロナウイルスの死者数はまだ10人にもなっていない。
通常のインフルエンザや車、心の病などの脅威の方がはるかに大きいのにもかかわらず、新型コロナウイルスはこれらよりももっと恐れられる疫病として、日本経済だけでなく世界経済を破壊しようとしている。 リーマンショック以来のマイナスになるかもしれない。 日本では東日本大震災以上のマイナスだ。
新型コロナウイルスは未知のウイルスだ。 しかし、もともと疾患を持っている人以外が死に至るケースは、SARSよりも低いとされている。
ハラリは『サピエンス全史』の中で、人類の……
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