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【Vol.318】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「改めて「日本式」の功罪を考える」  新型コロナ対策について、明らかに日本の方式はユニークであるように見 えます。  具体的には、 「成人の活動制限はせず、子供の休校だけを行う」 「徹底的に検査数の抑制を行う」  という2つの対策は、中国、韓国、欧州、アメリカのどこにも見られない ものです。これには理由があるわけで、その分析については以下のような説 明ができるとしてきました。 ・高齢者の外出禁止より休校の方が人口が少ないので容易。 ・若年層は重症化事例少ないという事実は言わない方が効果大と判断。 ・3月一ヶ月の休校は事実上小学生630万人だけが対象、その割に社会へ の警告効果は大きい。(但し解除の場合は逆効果が懸念されますが) ・検査数抑制は、検査精度の問題からくる誤解を防止し、検査場所での感染 を防止するため。 ・また何よりも、陽性イコール入院という運用の中での医療崩壊を防止する ため。  ですが、この説明だけでは不十分でした。一連の報道や政府発表を総合し ますと、日本の戦略というのは、 「クラスターの発見、追跡、収束を徹底的に行う」  ことで、全体的な終息を狙うという、緻密な考え方がベースになっている ようです。検査数の抑制というのは、医療崩壊防止ということもありますが、 とにかくPCR検査というのも「クラスターの発見、特定、経過観察」の徹 底的な調査を主目的として使うということにしており、そのために数的には 抑制しているように見えるわけです。  一方で、19日の専門家会議で尾身茂博士の言っておられた「オーバーシ ュート」というのは、経路不明の感染が巨大な数となってクラスター追跡が 破綻するという意味のようです。  実は、やみくもに「都市封鎖をやっても不十分」であり、とにかく「クラ スターを追跡して潰す」ことをしないと全体の終息もありえないというのは、 他でもないWHOのテドロス博士が、今日、現地の23日に言明しているわ けですが、日本はその模範となるような戦略でこれまでもやってきたわけで す。  問題は、この「クラスター潰し」という正攻法を最優先にして愚直にやっ ているにもかかわらず「オーバーシュートの危険」が否定できないというこ とで、日本は日本で非常に厳しい状況にあるということです。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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