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§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな § vol.318 § 2020年3月28日発行 §
今週のトピック: 朝日新聞「台湾日記」炎上に思うこと
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朝日新聞社がフェイスブックに開いている「アジア太平洋」特設ページ(
https://bit.ly/3dG1DOD )で3月19日から「連載」が始まった、吉岡桂子・編集委員による《台湾「隔離」日記》が炎上し、わずか2回配信しただけで終了宣言した。
◇台湾「隔離」日記 3月19日(1回目)
https://bit.ly/3akVl4J
◇台湾「隔離」日記 3月20日(2回目)
https://bit.ly/2xz5v2Y
◇台湾「隔離」日記 3月23日 終了のおしらせ
https://bit.ly/39vkrwI
わたしは一応中国屋だけど、吉岡さんとはまったく面識はない。同じ時期に北京にいたことも知っているけれど、吉岡さんは経済担当で、また新聞社のプロパーらしく中国共産党政治とその極端に逆の世界(つまり異見者)を追いかけるという取材の範囲がまったくわたしと重ならなかったこともあって、袖振り合うことすらなかった。
だから、わたしは彼女個人を語れる立場にはない。
ただ、時折ツイッターで流れてくる(基本的にわたしは日本のマスメディアの報道はほぼすべてツイッターやフェイスブックで拾っている)執筆記事を読んで、真面目で丁寧、浮ついたところがなくすっきりした記事を書く、いかにも優等生な記者さんだな、というイメージを持っていた。中国での駐在終了後、駐在後の取材をまとめたり、中国経済の本を出版されて話題になっているのも知っていたし、「王道のマスメディア中国担当記者」だなと思っていた。
その彼女が台湾で隔離生活に入っているらしい、と知ったのも、流れてきたツイッターでのつぶやきが最初だった。「なんでまた隔離…?」と驚いてタイムラインをさかのぼると、「4月の台湾での取材準備のため」だという。台湾は新型コロナウイルスが中国で騒がれるようになった直後から、中国、香港、マカオを経由して台湾入りする人たちに対してすぐに厳しい措置を打ち出し、中華圏が阿鼻叫喚になり、また欧米に飛び火してこれだけ騒がれるようになってからも、静かに事態を見つめている。
ここで台湾に入るために「隔離される」という事態を受け入れることは、吉岡さん、ひいては朝日新聞社も、「危険はない。こちらの心持ちの問題」だと理解した上でのことだろう。中国や香港、あるいは今の欧州に乗り込むのに比べれば、ちょっとホッとできるのは間違いない。
でも、たとえ取材のためといえども、一人の経験豊かな記者を2週間もの隔離生活に、つまりフルに働くことができないという事態を敢えて受け入れることができるのは、さすが朝日新聞、太っ腹だなぁ、と思った。
今回の取材がそこまでのコストを受け入れた上で社内の許可が下りたのであれば、取材相手とは、蔡英文・台湾総統か、それとも新型コロナウイルス騒ぎで日本でクローズアップされるようになった唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当大臣か、まぁそんなところだろう。この二人ならほかのメディアだって飛びつきたいところだろうが、さすがに今、隔離コストを払おうと思うメディアはほかにはいないだろう。
●安心感が生んだ気の緩み
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