■数字の法則
ビジネスの現場では、新聞やテレビで見聞きするニュースの概略を
把握しておくことが大事だ。さらに、職種によって様々なデータを
大まかにつかむことが求められる。
企画書作成やプレゼンを行わなければならない場合もある。その時、
必要なことは、数字を把握し、使いこなす技術だ。数字のコツさえ
つかんでおけば、誰でもスムーズに仕事を進められるようになる。
経理や投資業務など、数字をメインに扱う人でなければ、現場では、
細かな数字を覚えたり、数字の方程式を駆使したりする必要はない。
だいたいの数字を頭の中に入れ、仕事の判断に活かせばいい。
重要なことは、細かい数字ではない。上司、同僚、取引先の言って
いる数字が、だいたいわかれば十分だ。そして、わかりやすく相手
に伝えられることが大切だ。
たとえば、数字を最長でも3秒で言える範囲にまとめておくことだ。
数字とは、物事をきちんと定義し、お互いの共通認識を持つために
使うものだからだ。
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数字の法則を、頭に入れておくことで得られるメリットは2つある。
まず、思考のスピードが速くなる。ビジネスの現場では、様々な判
断が求められる。時には瞬時に指示を出さなければならない。
そんな時、数字の法則を頭に入れておけば、法則の数字から仮説を
スタートさせることができる。この法則が頭になければ、ゼロから
情報収集をしなければならず、数倍の時間と労力がかかってしまう。
2つ目は、発言に説得力が加わることだ。細かな数字を3秒で言え
ることは、周囲から一目置かれる存在になる方法の1つだ。また、
「ちゃんと勉強しているなあ」と思われるポイントでもある。
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重要なことは「基準の数字」だ。たとえば、ビジネスでは大切な、
取引先や同僚との雑談の際にも、ビジネスパーソンとして知ってお
いたほうがいい「基準の数字」がある。
まず、世界各国のGDP、いわゆる国内総生産だ。一定の期間内に国
内で産み出された付加価値の総額のことだ。細かな数字を覚える必
要はない。
たとえば、日本の名目GDPは約500兆円、アメリカは日本の約4倍、
中国は約3倍だ。毎年のGDPを調べておけば、成長性があるかどう
かが判断ができる。海外進出を検討する際にも使えるはずだ。
2つ目は、世界各国の国土面積だ。日本の面積は、約37万8000平
方キロメートルだ。世界一広いといわれるロシアは約1700万平方キ
ロメートルで、日本の約45倍の大きさがある。
国土面積ランキングでは、日本は194カ国中61位だ。真ん中より、
上位に位置する。島国に限れば、本州は約23万平方キロメートルだ。
世界第7位の大きさになる。
日本は、近隣に中国やロシアなど大きな国がある。そのため「小さ
い」と認識しがちだ。しかし、このデータを見れば、日本は決して
小さな島国ではないことがわかるはずだ。
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3つ目は、日本経済の地域格差だ。「県民経済計算」という指標が
ある。各都道府県当たり、どれだけ稼いでいるかを示す指標と言い
換えることができる。
平成28年度は、東京都が約105兆円で全国1位だ。最下位は鳥取県
で約1・9兆円、その差は約55倍ある。大阪府と愛知県は約40兆円
だ。東京・名古屋・大阪を3大都市と言うが、実際は東京1強だ。
この県民経済計算は、県民所得と関連がある。稼ぎたければ、県民
経済生産の高い地域で働くほうが効率的だ。このように、数字で見
ることで、東京の一極集中と地方の弱体化が鮮明になるはずだ。
この傾向は今後も広がっていくはずだ。ところが、政府は最低賃金
を全国平均1,000円に引き上げようとしている。県ごとの生産性が
異なるのに無理な話だということがわかるはずだ。
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