<化学療法(抗がん剤治療)について その4 がん組織の遺伝子解析は役に立つ!?>
全ての前立腺がんに効く夢の特効薬は残念ながらありません。
理論的に今後もそのような薬は期待できません。
というのも前立腺がんは多彩な遺伝子発現を背景に持ち、異なった生物学的特性を有する病態の集まりだからです。
患者さんそれぞれで、前立腺がんの顔つき・性質は違うのです。
人間の顔と一緒で、十人十色といっていいでしょう。
そのため、ある患者さんでは、内分泌療法(去勢術)が長期間にわたって効果が認められます。一方で、内分泌療法の効果が短期間でなくなり、いわゆる去勢抵抗性前立腺がんになってしまう患者さんがいます。
生検や手術標本のがん組織の検査は、前立腺がんの診断に重要です。
個々の前立腺がんの生物学的な特徴を見極めて、薬の効果を予測し、それぞれの前立腺がんにあった最適な治療を行うことが大切になります。
たとえば、従来の臨床試験で10%の前立腺がんにしか効果がなく、前立腺がんには効かないと考えられていた薬であってもその10%の前立腺がんを前もって予想できれば治療効果は100%になり、すなわち夢の抗がん剤が実現するわけです。
この様な観点から効果予測因子の診断・開発は新薬の開発と両輪をなすべき重要なテーマです。
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