今週のざっくばらん
米国のコロナ対策
先々週のメルマガに、「医療破綻前夜の米国」という文章を書きましたが、まさにそこで予想していたような状況になりました。特にひどいのがニューヨークで、ニューヨーク州だけで1日千人以上が新型コロナウィルスで命を落とすような状況になっています。
この状況を受けて、ニューヨーク州だけでなく、私が暮らすワシントン州やカルフォルニア州でも、州単位での「ロックダウン」が行われるようになりました。食料品を含む生活必需品を販売する店や、電気ガス水道などのインフラを除いた、全てのビジネスに対して、営業停止もしくは自宅からの業務への切り替えが「命令」として通達されたのです。
医療崩壊を避けるにはやむを得ないとの判断ですが、これが地域経済に深刻な影響を与えています。レストラン、バー、小売店などが軒並み閉鎖になったため、そこで働く従業員の大半がレイオフされることになりました。
私の息子もシアトルでレストランを2件経営していますが、従業員26人中22人をレイオフしました。私の息子だけが特別ではなく、シアトルで13件のレストランを経営するトム・ダグラスも、850人いた従業員を5人に減らし、「この騒ぎが収まった後も、半分のレストランは再オープン出来ないだろう」と語っています(参照:Tom Douglas Gives a Reality Check About His Restaurant Group: ‘We Are Broke’)。
結果として、大量の人が同時に職を失うことになりましたが、彼らの大半が貯蓄を持たない「その日暮らし」の人々なので、いきなり収入がなくなって家賃が払えなくなるという状況が多発しています。
そんな状況に対処するために、州知事は「今月に限って言えば、店子が家賃を滞納しても追い出してはいけない」という命令を出しました。さらに、連邦政府が緊急で可決した2兆ドルの予算のうち、4分の1ほどを失業者や低所得者層に向けて配ることを発表しました(一人当たり1000〜2000ドルの現金が支給されます)。
しかし、それも一時しのぎでしかありません。たとえ、このロックダウン状況が4月末に解消されたとしても、多くのレストランや小売店はそこまで持ちこたえることは出来ないので、職場復帰は絶望的です。つまり、少なくとも今年いっぱいは、失業率が20%を超えるような異常な状態になることがほぼ確実なのです(下のグラフは「US jobless claims skyrocket to 6.6 million, doubling last week's record, as coronavirus layoffs persist」から引用した、失業保険に申し込んだ人の数の変異です)。
つまり、医療崩壊を避けるための施策が経済崩壊を引き起こしているのです。
連邦政府は国単位でのロックダウンの支持は出していませんが、トランプ大統領が「ベストケースでも10万人の人が命を落とす」と発言してしまったことが波紋を読んでいます。
米国の専門家のシミュレーションによると、新型コロナによる死亡者の数を何もしなかった場合、100万人以上様々な施策をした場合:10万人〜24万人
と見積もったレポート(とそれをベースにした、官僚からの説明)を受けてのことです。
米国の人口は約3億3千万人なので、集団としての十分な免疫力を持つためには、少なくとも1億5千万人の人が感染する必要があります。その場合、致死率を 0.6% と見積もっても、100万人を超える死者が発生する計算になります。医療崩壊が起きれば、致死率は2〜3%に上昇するので、その場合の死者は300万人を超えることになります。
そんな状態を避けるために、州単位でのロックダウンを行い、それにより感染拡大のスピードを落とすことを試みているのです。しかし、残念なことに、それにも関わらず、医療崩壊が各地で起きている経済に大きなダメージを与えつつある集団的免疫を得られるわけではないので、その後も気を緩めることが出来ない
という非常に厳しい状況なのです。
今のロックダウン状況をこれ以上続けると、経済に修復可能なダメージを与え、街に失業者が溢れることにまります。
本来ならば、「(多少の犠牲は覚悟して)どうやって医療崩壊と経済崩壊の両方を避けつつ、集団的免疫をどうやって得るか」とう戦略を政治家は考えるべきなのに、イギリスが一度そちらに舵を切ろうとした時に世論が許さなかったこともあり、政治家たちも八方塞がりになっているように私には見えます。
このままだと、各地でのロックダウンはしばらく続き、それによる経済崩壊を避けるために連邦政府は2兆ドル規模の財政支出を何度も行わなければならなくなり、結果として、米国は日本に匹敵する(もしくはそれ以上の)借金大国になってしまう可能性が高いとすら思います。
VALUという悪徳ビジネス
暗号通貨ビジネスに興味のある方ならば、VALUという会社が破綻したことは既にご存知だと思います。創業者自身が、note で「VALUの終わりに」という文章で、破綻に至る経緯について詳しく書いており、私もそれで知りました。
このメルマガを長らく読まれている方は既にご存知だと思いますが、私は、ガチャ、パチンコ、ICOなどの搾取ビジネスに対してとても批判的です。私が政治家であれば、その手のビジネスを全て禁止する法律を成立させ、市場から締め出します。カジノの合法化など、とんでもありません。
これらのビジネスに共通するのは、社会的弱者(情弱:情報弱者と呼ぶ人もいます)の頭の悪さにつけ込み、射幸性をあおり、彼らから、なけなしのお金を搾取する点です。
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