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【Vol.320】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「治療薬の現況と、政治家の安易な発言問題」  治療薬については、とにかく重症化のプロセスにおいて、様々な試行錯誤 がされています。患者の体力が残っているうちに、患者自身の免疫力によっ てウィルスを撃退できるようにするには、少しでもウィルス増殖を抑制する のが効果的であり、様々な薬剤が試されています。現時点では、 (1)ファビピラビル(アビガン)などの抗インフルエンザウィルス薬 (2)ロピナビル・リトナビル配合剤などの抗HIV薬 (3)レムデシベルなどの抗エボラ出血熱ウィルス薬 (4)吸入ステロイド薬であるシクレソニド (5)抗マラリア薬であるクロロキンやヒドロシクロロキン (6)実際に新型コロナに罹患し、回復した患者の血清  などが、話題になっています。この6つの薬剤等に関しては、実際に武漢 でも、そして日本における「ダイヤモンド・プリンセス」乗船者への治療に おいても、多様な試用が行われています。勿論、認可前のものであったり、 目的外試用になるので、日本の場合は各病院が倫理委員会を開催して承認を 得て例外的な投与をしているわけです。  その結果としては、現時点ではまだ決定的なものは発見されていません。 ある薬剤等が、ある患者には明らかに効果があったという報告は色々と出て きているのですが、薬剤として承認できるだけのエビデンスには欠けるよう で、まだまだ慎重に見てゆく必要があるように思います。  そんな中で、(5)については、何故かトランプ大統領が「使ってみた い」とか、予防目的で自分が打つなどと勝手な発言をしています。また( 1)に関しては、色々な問題も指摘されているにも関わらず、安倍総理が必 要以上に期待を持たせるような発言をしています。  とにかく医療の現場、薬剤開発の現場は100年に一度の危機に対して、 必死に頑張っているのですから、政治家が安易な発言をするのは慎んでいた だきたいと思います。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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