石川ともひろの永田町早読み!
/ 2020年4月12日発行 /Vol. 395
◆東京五輪は「1年延期」で大丈夫か!?
「予言の書」に不気味な警鐘が書いてあった!
ノストラダムスの大予言は、私の世代なら子どものころ誰しもが興味を抱いたものだ。 1999年に世界が破滅するという世紀末思想はオカルトブームを巻き起こした。 『ノストラダムスの大予言』を書いた作家の五島勉はひと儲けしただろう。 函館市出身とあとで知って恥ずかしい思いをした記憶がある。
さて最近、予言の書として注目されている本が楡周平著『サリエルの命題』だ。 サリエルとは、医療に通じ癒す者とされる一方で相手を死に至らしめる魔力を持つ堕天使を意味する。 アメリカで極秘に研究されていた新型インフルエンザウイルスの作り方が流出してしまい、この作り方を知った米国人が作り上げた新型インフルエンザ『サリエル』が東京オリンピック直前の日本で流行して大混乱になるという小説である。
中身はサスペンスというよりも日本の社会保障制度にメスを入れる内容となっているが、現在の状況と似ている部分が多々ある。 いま読むと新型コロナの発生を予言して書いたのではないかと思うほどだ。 フランスのノーベル文学賞作家カミュが1947年に発表した長編小説『ペスト』がいま売れているが、こちらもお薦めだ。
さて、新型コロナの大流行により東京オリンピックは1年延期で決着したが、問題は山積している。 スポンサー契約は今年の12月までとなっているところが多く、1年経費がかさむことになる。 コロナで苦しんでいる日本企業にとっては苦しい出費だ。 自治体などから出向している職員は家族計画を含めて見直す必要に迫られるだろう。 また施設の予約も取り直さなければならなくなる。
金銭面のことだけを考えると、「1年でも大変なのに2年延期なんてあり得ない」ということだろうが、一番考えなければいけないのは来年までに、新型コロナの大流行が世界中で収束しているかということである。 アメリカでの拡大を見ると、対策を施さなければ一気に感染者が増えることを我々は知ってしまった。 わずか1ヶ月でアメリカの様相は一変し、ニューヨークはゴーストタウンと化してしまった。 恐らく夏までにはピークを迎えて収束すると判断し、欧米諸国の混乱は落ち着くとみて、来年の開催は可能だという判断を下したのだろう。
しかし、パンデミック「予言の書」を記した楡周平は……
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