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言いすぎか!!
弁護士北村晴男 本音を語る
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Vol.91
2020.4.15
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目次
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【1】 『日本の危機に「お気楽素人大臣制度」
(議院内閣制)は機能するか?』
【2】 『北村晴男の"素"』
【3】 『番組出演予定
イベント情報』
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【1】 『日本の危機に「お気楽素人大臣制度」
(議院内閣制)は機能するか?』
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危機的状況下で
日本の「お気楽素人大臣制度」は
このままで良いのか
日本の議院内閣制は、このままでいいのか。今回の新型コロナ危機に対する政府の対応を見ていると、つくづく思う。
日本の制度は、行政府のトップ(首相)を、国民による直接選挙ではなく、議員の中から選ぶ。首相は大臣を選ぶが、その過半数も議員の中から選ばなければならない。これが憲法が採用する議院内閣制だ。
首相に選ばれるためには多くの議員の後押しが必要となり、後押しのために派閥ができる。そして、その派閥から論功行賞のように「お気楽素人大臣」が次々と生み出される。
大臣を何人か出してもらえるならAさんを応援しよう。Aさんを首相に押せば自分たちの仲間から何人か大臣に指名してもらえる。そしていつか自分も。
そういうことが戦後70年以上続いている。
その結果、「大臣は素人で当たり前」というトンデモナイ状況に陥っている。
官僚が専門家として行政府を支えているから、大臣は素人でも、確かに平時は何とかなる。
だが、今回のような危機的状況下では、このシステムは如何にも弱い。
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蔡英文(ツァイ・インウェン)さんは、国民の直接選挙で選ばれた「総統」だ(Presidentを中国語では「総統」と訳すため、日本語の「大統領」と同義である)。
そして総統が「行政院長」(首相に相当)を決め、その行政院長が中心となって閣僚を任命する。日本でいう大臣は「部長」または「政務委員」といい、誰ひとり立法委員(国会議員)ではなく、それぞれがその道の専門家だ。
よく言われるのが、IQ180以上と言われる唐鳳(オードリー・タン)政務委員(IT担当大臣)。彼女は中学校を中退して独学でプログラミングを学んだ天才的なスペシャリストだ。
また、厚労大臣に該当する陳時中(チェン・シーヂョン)衛生福利部長は本業は歯科医師で、民間での活動で能力が認められ、行政府に引き上げられた人物だ。
2002~03年のSARS危機の際に行政院衛生署長として感染拡大を迅速に食い止めることに成功した陳建仁(チェン・チエンレン)副総統は、米ジョンズ・ホプキンズ大学公衆衛生大学院で博士号を取得したスペシャリストだ。
このような専門的な能力が秀でている人を行政の各担当トップに据える台湾のシステムの方が、今回のような危機的な状況では、はるかに優れているように思えてならない。いや、平時においても当然優れている。
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国の利益を第一に考えることができる様な、その道の専門家・スペシャリストを省庁のトップ(大臣)に置けば、今よりもはるかに官僚と大臣との間の緊張感が高まり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)する関係、鋭く響き合うような関係になるのではないだろうか。
官僚が素人大臣に専門知識を教えても、お気楽素人大臣が国会でトンチンカンな答弁をするというのは、あまりにも政治システムとして幼稚だ。
これには、もちろん憲法改正が必要なのだが、議院内閣制の限界だと思う。早急に検討すべきだと考える。
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