■最強の睡眠
睡眠の不調を訴える声をよく耳にする。日本の成人の5人に1人は
不眠症状態なのだ。特に35歳くらいから睡眠の質は急激に下がる。
工夫しなければ、いつも何となく不調になるのは当然だ。
だが、本気で改善に取り組んでいる人は少ない。仕事が忙しいなど
の理由で、睡眠については後回しにしていると、疲れは溜まる一方
だ。そうなれば良いパフォーマンスなど期待できない。
限られた時間で高いパフォーマンスを発揮するには、最高の睡眠を
手にすることだ。それこそが、ビジネスの結果はもちろん、人生の
質そのものを左右することになるのだ。
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質のいい睡眠を得られるかどうかは、実は朝の段階で決まっている。
理由は二つある。まず、体内時計のリセットが、朝のうちに行われ
てしまうからだ。
遅くとも10時までの時間帯に太陽の日差しを網膜に感じるべきだ。
そうすれば、脳にある親時計が整う。目覚めたら、すぐに起き上が
り、家中のカーテンを開けて太陽の日差しを浴びることだ。
もう一つ、朝はセロトニンを増やす時間の始まりだ。日差しを網膜
に入れることで、セロトニンの分泌が促進される。このセロトニン
は、夕方になると睡眠ホルモンであるメラトニンに姿を変える。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれる。ドーパミンやノルア
ドレナリンなど、攻撃性が高いホルモンの過剰分泌を抑え、イライ
ラや不安を取り除き、楽しく穏やかな気分を作り出してくれる。
少しでも効率的にセロトニンを分泌するには、できるだけ午前中に
太陽の日差しを浴びることだ。時間の目安は、1回につき5~30分
だ。猛暑なら5分、日差しが弱い季節なら30分を目指すことだ。
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体内時計を正しくリセットするには、毎朝決まった時刻に起きるこ
とだ。休日でも、寝坊は最大で平日の起床時刻プラス2時間までに
するべきだ。
どうしても眠いなら、昼寝だ。12~15時に最長1時間半まで楽しむ。
あとは、とにかく起きていることだ。ここでいう「起きている」は、
「起き上がる」ことだ。目が覚めている状態ではない。
いくら目が覚めていても、そのままベッドでゴロゴロしていれば、
脳は「まだ寝ている」と勘違いしてしまう。だから、目覚めたら、
すぐにベッドから出る。そしてカーテンを開け日差しを肌で感じる。
特にお勧めできないのは、ベッドの中でスマホを見ることだ。貴重
な朝の時間をダラダラ過ごしかねないからだ。それ以上に、脳が
「ベッドの役割」を勘違いしてしまうからだ。
本来、ベッドは「寝る場所」であるべきだ。だが、色々と考えたり
すると、脳はベッドを「活動する場所」だインプットしてしまう。
その結果、夜寝付きにくくなってしまうのだ。
★
起きたら太陽の光を網膜に入れて、親時計をリセットすることだ。
加えて、朝食を食べることだ。子時計をリセットできる。親時計と
子時計が揃わないと、体はベストな働きをすることができない。
食事内容については、朝も昼も夜も、「タンパク質をしっかり」「栄
養バランスに気をつけて」「前述の二つが可能な時短メニュー」の
3つが柱だ。
セロトニンは、タンパク質に多く含まれる必須アミノ酸である「ト
リプトファン」と「ビタミンB6」、そして「炭水化物」の3つの栄
養素が揃うことで作られる。
この3要素を揃えた上で、太陽の光を浴びたり、散歩などのリズム
運動をすることでセロトニンは作られるのだ。これが夜になるとメ
ラトニンに変わり、睡眠の質がアップするのだ。
とはいえ、朝は時短が大事だ。だから、たとえば野菜がたくさん入
った味噌汁に、肉や魚、卵などのタンパク質を加えたもの、そして
白米だ。これがあれば十分だ。
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