■本から「欲しい情報」がとれないワケ
同じ本を読んでも、欲しい情報が「とれる人」と「とれない人」が
いる。情報がとれない理由は、読む前にキーワードを設定していな
いからだ。
調べたいことがある時は、Googleで検索する人が多い。これは検索
ボックスにキーワードを入力することで調べている。当然、キーワ
ードを入れなければ、何の情報も表示されない。
つまり、キーワードがわからなければ、その先の情報に辿り着けな
いのだ。現代において「情報をとること」と「キーワードを入力す
ること」はセットなのだ。
これを読書に当てはめれば、本を読む前に「キーワード」を設定し、
それを「検索するような感覚」で本文を読めれば、欲しい情報がと
れることになると言えそうだ。
★
目が見えるからといって、すべてのものが視界に入っているわけで
はない。たとえば、自分の家の一番近くにある歯医者、郵便ポスト、
公衆電話などが、どこにあるのか、すぐに答えられるわけではない。
毎日目の前を通り、見ているはずなのに、関心がない時は見えない
のだ。虫歯ができたときに歯医者、年賀状のシーズンになったら郵
便ポスト、スマホが壊れたときに公衆電話が目に入るのだ。
これらのキーワードが頭に設定され、意識して見るようになって、
初めて「こんなところにあったんだ」と気づくのだ。これは、脳科
学の世界では「脳の焦点化」と呼ばれる。
この「脳の焦点化」の原理を読書に当てはめれば、なぜ今まで情報
が取れなかったかがわかるはずだ。文中に欲しい情報が載っていて
も、あらかじめキーワードを設定していなければ見えないのだ。
人は、自分が見ると決めたものしか見えない。だから、本を読む前
には、必ず何を見るか「キーワード」を決めておかなければならな
いのだ。キーワードを制する者は読書を制するのだ。
★
人が本を読むのは、本から学べることが何かを考え、将来に生きて
くるという想像ができるからだ。この本を読めば「悩みを解決でき
るはずだ」「願望を実現できるはずだ」と思うから読書をするのだ。
本を読んでも情報がとれないのは「情報をとる能力がないからだ」
と思うかもしれないが、そうではない。もう1つ前の段階「悩みや
願望が明確になっていない」ことが原因だ。
キーワードを「設定していない」というより、キーワードがそもそ
もわかっていないのだ。だから情報がとれないのだ。要するに、何
も考えずに読んでいるのだ。
レストランに行って「私は何が食べたいんでしたっけ」と聞いても、
シェフは困る。就職活動で「自分がなぜこの会社に入りたいのか」
たずねても、面接官は答えられない。
同様に「私はこの本を読んで何を知りたいんですか」と聞かれても、
著者は答えようがない。答えは、自分の中にあるのだ。本から情報
をとるには、読む前にその「答え」を見つけておくべきなのだ。
★
書店や図書館には、膨大な量の本が並んでいる。その中から1冊を
手に取る時、まず「ジャンル」で選ぶはずだ。つまり、興味があっ
て知りたい情報の「ジャンル」まではわかっているのだ。
そのジャンルの中で「うまくできないこと」や「やりたいこと」が
あるから本を読むのだ。この時、自分の悩みや願望を分解して「キ
ーワード化」しておくことが大事だ。
本から情報を取れる人は、ジャンルと掛け合わせるキーワード、す
なわち「何のために本を読んでいるのか」がわかり、そこにフォー
カスして読む。だから情報をとれるのだ。
目指す場所が明確なら、意識はそこに向かう。反対に狙っているキ
ーワードがなければ、脳のピントは合わない「ピンボケ」状態だ。
そこで“ズーム機能”のような役割を果たすのがキーワードなのだ。
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