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第587回 パンデミック以降の世界を展望する その2、国家が対立する動乱期に突入か?
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▼今回の記事
まずメインテーマを書く前に、別のテーマを2つ書く。ひとつは、新型コロナウイルスに関するちょっと明るいニュースである。次はアメリカ軍における新型コロナウイルスの蔓延と、中国軍の危険な動静についてである。
今回のメインテーマは前回の続きである。前回は新型コロナウイルスのパンデミック以降にやってくる社会主義の高度管理社会という新しい社会体制について書いたが、今回はパンデミック以降に出現する新しい国際関係について書く。
今回は記事が長くなるので、いつもの後半の記事は省略する。
▼危険な動乱期に入るパンデミック以後の世界秩序
長くなったが、今回のメインテーマを書く。パンデミック以後の世界の展望である。今回はその2として、世界秩序の変化を概観する。これから国際関係は、非常に危険な動乱期に入る可能性が極めて高い。
●パンデミック終息後も変化は不可逆的
この新型コロナウイルスのパンデミックがなんらかの勢力によって仕掛けられたものであるにせよ、またないにせよ、いずれは終息することは間違いない。6月には経済活動への規制が大幅に緩和され、7月にはほぼ正常に戻ることが期待されている。経済が痛手から本格的に回復するにははるかに長い時間がかかるだろうが、最悪な時期が過ぎ去ったという一時の安堵感も込み上げて来ることだろう。
しかし、そのような楽観的な時期があったとしても、それは一時の多幸感に過ぎないことはすぐに分かるはずだ。なぜなら、すでに前回の記事に書いたように、おそらく我々の既存の社会は、今回のパンデミックで根本的に変化し、元の状態に戻ることができなくなっているからだ。逆にいま我々は、高度管理社会とでも呼べるような、新しい社会体制が出現する歴史的な転換点の時期にいる。この意味で今回のパンデミックの引き起こした変化は、まさに不可逆的なのだ。
そしてこの不可逆性は、国際関係の力学にも当てはまる。国際秩序の根本的な配置転換の時期に入ったのだ。既存の世界秩序の大変動である。これがどういうことであるのか、グローバリゼーションの歴史を概観し、迫って見よう。
●グローバリゼーションの歴史
ソビエトが解体し、東欧を中心とした社会主義圏が崩壊した1990年代の始めから、グローバリゼーションによる経済の拡大過程は始まった。中国など新興国への製造業の生産拠点の移転と、世界中に分散した拠点をインターネットで結合し、もっとも効率的に製品やサービスを提供するグローバルな生産体制によって、世界経済は空前の成長率を記録した。さらにその成長は、実質的に製造業を捨てた先進国の金融産業の投資によって後押しされ、一層加速した。中国やインドなどの新興国では分厚い中間層が出現し、こうした国々の内需を支えた。
一方、欧米や日本などのかつての先進国は、新興国に追い上げられ、長い間世界市場を独占していた車や家電などの耐久消費材の市場を奪われた。これらの産業が裾野の広い主力産業であっただけに、こうれらの産業の没落は、先進国の中間層の没落を引き起こし、格差の拡大をもたらした。
このようなグローバルな資本主義の成長の明白な陰りと限界が露呈したのは、2007年のサブプライムローン危機から始まり、2008年のリーマンショックで頂点に達した世界金融危機である。世界経済は、これでの4%から5%台の成長から、2009年にはマイナス1.6%にいきなり下落した。
そして先進国を中心に、格差の拡大に抗議する激しい運動が起こった。それらは、世界を席巻した「オキュパイ運動」や、アメリカで保守層が結集した「ティーパーティー運動」、そしてヨーロッパではEUからの離脱や解体を叫ぶ極右運動などであった。そうした運動の多くは、格差と社会的矛盾拡大の原因となったグローバリゼーションの停止と、国民生活の保護、ならびに国民の権利回復を強く求めた。
しかしながら世界経済は、中国政府の大規模な景気刺激策にも後押しされ、早くも2010年にはプラス3%程度の成長を回復した。一時は1929年の世界恐慌を上回る可能性さえ指摘されていた金融危機は、予想以上に早期に回復し、2015年頃には危機発生以前の状態に戻った。破綻の引き金になると危険視された金融商品も息を吹き返し、世界の投資ブームは再燃した。
●グローバリゼーションに歯止めをかけるトランプ
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