ここで、
1本の「大作映画」の撮影中断に目を向けてみましょう。
トム・クルーズの映画撮影の中断は、もちろんそれが当事者たちにとっては大変な災難であっても、
一般の社会の人たちにとっては、それほどのショックとしては捉えられていませんでした。
というのも、アクション映画には事故がたまにあり、中断も決して珍しくはないことだからです。
前作の『ミッション:インポッシブル6』では、
トム・クルーズがビルからビルへ飛び移るスタントで、足首を骨折したハプニングがあり、
撮影が8週間、ストップしました。
その後、トムが驚異的な回復力で現場復帰し、映画を完成させています。
但し、
元々の制作予算が180億円であったものが、250億円にまで膨らみました。
8週間の中断で、実に70億円という金額が余計にかかってしまったわけです。
トムの作品は、常に超大作であり、各種の(事故や疾病などによる損失の)保険が
備わっていて、そして再開できるだけの経済的体力が製作陣やメジャー配給会社にあるから
できることですが、
70億円といえば、
『硫黄島からの手紙』規模の映画が3〜4回作れる額です。
中規模のメジャー映画なら、1作品の1日の中断で2000〜3000万円、
超大作なら、1日で1億円を超える損失が生まれていきます。
トム・クルーズの作品では、1日で1億円を超えるであろう額が
かかっているのです。
そんな『ミッション:インポッシブル7』は、イタリアでの中断から、
すでに2ヶ月以上の日数が過ぎています。
同様に、
『マトリックス4』『ファンタスティック・ビースト3』『バットマンの新作』
『ジュラシックワールドの新作』など、
そしてストリーミング配信作品も含めれば、
現在100以上の作品が撮影ストップしたままの状態に置かれています。
日々の撮影現場に投じられてきた予算や、中断中のメインスタッフへの補償だけを考えても、
計り知れない損失が、日に日に生まれているということです。
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