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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第381号2020.5.12配信分
●トヨタも再び赤字に沈む予感がする。危機は好機となり得るか?
トヨタ自動車は5月12日、2021年3月期の連結営業利益が前年比8割減の5000
億円となる見通しを発表した。インターネット中継による決算会見で明かされた
想定によれば、世界の新車販売は22%減の700万台。通常期なら”ぎょっと”す
る見通し公表だが、今は世界中あちこちの工場が止まっている非常事態である。
席上、豊田章男社長は「国内生産300万台の死守」「次世代技術への投資継続」
などを強調し、安心感の醸成に努めた。
「クルマを造ることで、仕入れ先の工場が動き、地域社会が動く。多くの人の
(通常の)生活を取り戻す一助となる。危機的状況だからこそ、分かっている状
況を正直に話し、一つの基準を示すことが必要だ。基準があることで、皆さん、
何かしらの計画や準備ができる」いつもながらの正論であり、異論を差し挟む余
地がないように見えるが、私は豊田社長の言を額面通り受け取ることを避ける習
慣を身に付けている。
日経ビジネス(business nikkei.com)が伝えるところでは、『見通し』を出す
かについてはトヨタ経営陣の中でも議論があったという。前述の理由で先行きを
見せることを選び、販売台数が2割以上減っても5000億円の営業黒字を出せると
示したのは経営トップの(願望に近い)意志であり、希望的観測を含む影響力の
誇示なのだろう。その上で強調したのが、国内生産300万台という現在の生産体
制の維持の必要性ということだろう。
「(超円高などがあっても)守り続けてきたのは、世の中が困った時に必要なも
のを造ることができる技術と技能を持った人材。人はカイゼンの源で、モノ作り
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