石川ともひろの永田町早読み!
/ 2020年5月17日発行 /Vol. 400
◆政治が決断すべき「コロナ対策」を提案する
5月15日、緊急事態宣言が39府県で解除となった。
当初予定されていた5月31日を待たずして解除となったことで、学校の再開を含め経済活動が動き出すことになる。
残りの8都道府県も、5月21日の専門家による諮問会議で「解除が妥当」と認められた場合には31日を待たずして解除となる。 ただし、安倍総理は記者会見で、再流行が起きた場合には再び緊急事態宣言を発出するとも述べているので、まだまだ手探りの状態で臨んでいる状況だ。
これは仕方がない。 誰もが経験したことのない新型コロナウイルスへの対処は、何が正しいのか分からないのだから理解できる。
しかし、政治家は経済政策であれ社会政策であれ、国民のために「何が正しいのか」を血のにじむような努力によって悩みながら決断をしていかなければならない。 私自身は妻の香織代議士を通すことでしか立法府に関与できないので残念であるが、政府にかかわっている政治家や与野党の政治家には、国民生活を真剣に考えて決断してもらいたい。 先週、メルマガ読者から「国民のことを本当に考える政治家に」という意見が寄せられたが同感である。
さて、ここで私が何を言いたいのかというと世界は壮大な社会事件を繰り返さざるを得ないということだ。
政治家は国民のために選択肢を提示し、決断し、実行していくのが使命だということだ。 そのためには過去の事例を学び、研究することが特に大事だ。
今回の新型コロナウイルス騒動で一番大事なことは、経済と命の両立をいかに実現するかという課題である。 全国民が一歩も外に出なければ感染者数はゼロに限りなく近くなるだろう。 しかし、完全隔離政策を補償もなしに採用した場合には、倒産が続出し自殺者や生活困窮者も増えてますます不幸な世の中になってしまう。 そして集団免疫の実現が遠のいてしまうリスクがある。
世界はこれまで感染症と戦ってきた。
コレラ、天然痘、ペスト、スペイン風邪などを、世界は克服してきた。 我々が学ぶべきは100年前にスペイン風邪が流行した際、世界や日本がどう向き合ったかだ。
スペイン風邪の際も、集団隔離や集会の禁止などを実行したことが大きな成果を上げたと記録されている。 だから現在、世界が行っている政策は正しいということだ。
しかし、スペイン風邪は第2波、第3波が起こっている。 なぜ起きたかというと自粛を緩めたからである。 そう考えると、今回の解除は正しい施策なのかという疑問にぶつかる。 一方で、これ以上の自粛は経済を崩壊させてしまう。 なんとか両立をしなければならない。
そこで壮大な実験を行っているのがスウェーデンだ。
都市封鎖によらない独自の政策を貫いている。 日本に似通っているところもあるが経済活動や義務教育などは日本ほど自粛させておらず、経済の落ち込みは世界の中でも少ないのが特徴だ。 もちろん社会保障政策が充実しているので日本より補償もしっかりしている。 政府への信頼が厚いという点も日本と違う。
しかし死亡率は近隣諸国に比べて高くなっている……
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