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第112回 パンデミック封じ込めのためのブロックチェーンとAI
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▼今回の記事
今回は、新型コロナウイルスの拡大防止にかかわるプロジェクトを紹介する。すでに第104回の「パンデミックとブロックチェーン」で解説した内容とも重複する部分もあるが、この分野における発展はすさまじく速い。今回は改めて紹介する。
また、この分野ではブロックチェーンとAIの統合も進んでいる。そのため、パンデミック防止にかかわるAIのプロジェクトも紹介する。
▼パンデミック封じ込めのためのブロックーチェーン
それでは今回のメインテーマを書く。パンデミックを封じ込めるためのブロックーチェーンとAIのプロジェクトだ。この2つのエリアの統合が進みつつあるが、分かりやすくするためにそれぞれ分けて書くことにした。
いま世界各地ではロックダウンや行動規制も次第に緩和され、経済活動が再開されつつある。そうした状況で拡大の第2波の発生が始まる可能性も否定できない。これを封じ込めるための手段として、いま改めてブロックーチェーンの活用が注目されている。分野別に見て見ることにする。
●コンタクト・トレーシング
やはり感染拡大の第2波の発生を予防するためには、感染者の行動を追跡し、濃厚接触を極力防止することが必要になる。すでに各国はこれをスマホで行うための「コンタクト・トレーシング・アプリ」を開発し、GPSの位置情報、クレジットカードの使用履歴、通話履歴などから個人の行動を追跡して、感染者との濃厚接触を警告するアプリを開発している。これにブロックーチェーンを活用すると、さらに高機能になる。
行動がトレーシングされた個人の情報は、ほぼリアルタイムで、自動的にブロックーチェーンのシステムに記録される。これは中央サーバのような巨大なシステムを構築するよりもはるかに安価にできる。さらにブロックーチェーンのシステムであれば、個人のそれぞれの行動はデータのブロックとして記録されるので、それをビジュアル化して見ることが簡単にできる。
・AIとの連動
ブロックーチェーンのシステムには個人の通話履歴もある。これをAIが分析することによって、たとえその個人が医療機関を受診しておらず、自宅にいたとしても、通話のパターンから、かなりの精度で感染者の症状の度合いを推定することができる。医療機関を受診していない感染者の行動が感染を拡大しているので、これは重要だ。
まず症状が軽症、ないしは中程度の症状の感染者の場合、不安から早朝や深夜の通話が急に多くなる。また反対に重症者の場合は、通話が急にまったくなくなる。こうしたパターンをベースにして、AIはブロックーチェーンの個人の通話履歴から感染者の状態を推定することができる。
・ハイパーチェイン(Hyperchain)
最初に新型コロナウイルスの感染爆発が起こった中国では、マスクやガウン、人工呼吸器などの医療関連用具や機器が大変に不足した。工場も稼働しておらず、製造も需要に追いつかない状況だった。そうした困難な状況を打破するためにできたプロジェクトが「ハイパーチェイン」だ。
マスクやガウンなどは、医療専門メーカーではなくても製造ができる。「ハイパーチェイン」はあらゆる会社や個人が製造した医療機器をブロックチェーンのサプライチェーンに記録し、確実に医療現場に届くようにしたプロジェクトだ。なお、製造された医療用具はすべて寄付されたものだ。これは医療器具の寄付を促進するブロックチェーンのサプライチェーンだ。
公式サイト:
https://www.hyperchain.cn/en
紹介ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=oSeBHuOuv1w
・ヴィチェイン(VeChain)
ワクチンの開発は中国でも急ピッチで進んでいる。「ヴィチェイン」はワクチンの開発から製造に至るすべての過程のデータをブロックチェーンに記録し、情報の管理を効率化するためのプロジェクトだ。ブロックチェーンは外部のハッキングやデータの盗難に強いので、すべての過程のデータの一貫性が保証される。
公式サイト:
https://www.vechain.org/
紹介ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=uW7trs4Y2IE
最新相場:ここのトークンは上場している。トークンは「VET」。
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/vechain/
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