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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 021
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、新型コロナウイルスの感染拡大に対抗して投入された人工知能テクノロジーをご紹介します。
人工知能テクノロジーにとって、「実証実験」(PoC=Proof of Concept)は短ければ短いほどいい結果をもたらします。まったく新しいシステムを導入するのですから、まず「お試し」で使ってみることは重要ですが、あまりに「お試し」の意識が強すぎると、実証実験ばかりやっていて、なかなか運用フェーズに入れなくなってしまいます。
厳密には、PoCとはその言葉通り、実証実験を表す言葉ではなく、「概念実証」という訳語の方が正確です。概念実証とは「期待できる効果」「技術的実現性」「具体性(業務適合性)」を調べるもので、これを元に本格開発を進めるためのものです。お試しではなく、開発の方向性を決めるための予備調査です。
つまり、開発、導入、運用を前提とした予備プロセスであり、「PoCを実行したところ、導入を断念」というのは論理的はおかしなことになります(もちろん、そういうケースが生じることもありえますが)。
中国では、極端なことを言えば、実戦投入をしながらPoCを進めるというようなところがあります。人工知能は設計だけでなく、学習の深さが性能を極める鍵になります。小さな規模で実証実験を繰り返すよりも、大規模で広範囲の学習をしてしまった方が、学習が進みます。
また、中国には人工知能開発をする企業が無数にあり、大学からスピンアウトしたスタートアップも続々と生まれているため、この分野の競争は熾烈です。また、投資家もすぐに莫大な資金を投じますが、短期間で結果が出ないとすぐに資金を引き上げようとします。
そういった事情から、中国では驚くほど早く人工知能テクノロジーが市場に投入されていきます。日本人の目から見ると、見切り発車をしているのではないかと心配になりますが、人工知能テクノロジーの場合は見切り発車ぐらいでちょうどいいのかもしれません。
そして、ご存知の通り、多くの企業が敗退をし、ごく一部の企業が生き残り市場を支配するというシナリオが展開されます。
新型コロナウイルスの感染拡大は、人工知能関連の企業にとって大きな好機となりました。社会全体が人工知能の実験場となった観すらあります。そして、多くの人が意識せずに人工知能テクノロジーに裏打ちされたサービス、プロダクトを利用することになりました。
中国は、この感染拡大をてことして、人工知能テクノロジーが社会全体に普及することになるかもしれません。
今回は、感染拡大期にどのような人工知能が使われたのか、とてもすべてをお伝えすることはできませんが、一部をご紹介します。
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