- Arcadia Rose -「 K 」のセルフカウンセリング&心理セラピスト講座 上級編
第16回-02 『クライエントに関する理解を深める為の「知識」と「接し方」』後編
第16回-01 からの続きです。
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<クライエントBの見抜き方 ~なぜ自力解決を放棄するのか?~>
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ここまでの解説から、クライエントBに関しては、「大人の思考」に
成長させないと、問題の解決が出来ないと、ご理解いただけたかと思います。
その為には、自分のクライエントがAなのかBなのか、見抜く必要があります。
それでは、ここで、『クライエントBの見抜き方』を詳しく説明していきます。
クライエントBは、外見的には普通の大人であっても、次のような特徴があります。
・「問題解決能力が著しく低い」 → 自分で考えず人に頼ってしまう為
・「難問を抱えていると勘違い」 → 解決能力が低いので難問だと勘違いする
・「相手のことを悪く言う傾向」 → 問題の原因を相手のせいにしている為
・「やたら自分は大変だと強調」 → 相手が悪いから解決出来ないという理論
・「幼稚なレベルで悩んでいる」 → じつは解決策が恐ろしくカンタン
・「甘えて、人に依存する傾向」 → リピーターになってしまう傾向にある
・「問題を人のせいにする傾向」 → 自分の解決能力が低い為、人のせいにする
・「自己中心な思考と性格傾向」 → 中学生レベルの思考になるケースが多い
・「正しい解決策を実行しない」 → 自分で解決する気持ちがあまりない
この様な特徴を持っている場合は、クライエントBである可能性が高いと判断することが出来ます。
これは、要するに「成熟した大人の考え方と行動」に反している場合、
その人は、クライエントBだと、判断すればよいというわけです。
クライエントAとBでは、たとえ「同じ内容の悩み」であったとしても、
本人の受け取り方の違いから、次のような差が生じます。
〇:解決能力が普通A → 普通の問題と認識 → 普通 → 自力で解決する
×:解決能力が低いB → 大きな問題と錯覚 → 大変 → 自力解決を放棄
クライエントBはたいした問題でなくても、問題解決能力が低い為、
「大変な難題である」「相手はかなりの悪人」「自分は大変な目に遭っている」
と考えているので、「自分は解決出来なくて当たり前」だと考えてしまうわけです。
その結果、自力での解決を放棄してしまうわけです。
また、元々、「努力することが面倒くさくて嫌い」という性格の為に、
自力での解決を放棄してしまう場合もあります。
このようなクライエントBでは、問題を解決することはなかなか難しいのでは?
と思われるかも知れません。
しかしながら、実際は、そうとも言えません。
じつは、クライエントBは、一見、「大変な問題を抱えているように見える」わけですが、
実際は自分が解決出来ないから大変と言っているだけで、
本当は「それほど大変な問題ではない」ことも多いのです。
従って、実際は悩みや問題の「解決策」を割り出すのも、カンタンなことも多いのです。
そこを、しっかりと見抜けるようになってください。
とは言え、クライエントBを見抜くのは、少しばかり難しいケースもあります。
それは、クライエントBの時に【態度による錯覚現象(第9講)】が、よく起こるからです。
覚えていますか。
【態度による錯覚現象】とは、大人が自信満々に幼稚なことを言っている場合、
その態度から錯覚してしまい、幼稚であると気づけなくなる現象のことでした。
A:「おどおどした挙動不審な態度で、正しいことを言っている」
B:「正々堂々と威厳のある態度で、間違ったことを言っている」
上記のように、本当はAが正しいのに、Bが正しいと錯覚してしまうわけです。
これが【態度による錯覚現象』です。思い出せましたでしょうか。
思い出せなかった人は、重要事項ですので、第9講を読んでおいてください。
話を戻します。
この『態度による錯覚現象』に陥ったまま、クライエントBの話を聞くと、
「世にも大変な悩みを抱えている」ように聞こえてしまいます。注意が必要です。
しかし、第9講でも解説したように、その「態度」や「言葉」ではなく、
『内容』でしっかり判断し『態度による錯覚現象』を回避した状態で聞くと、その真相が見えてきます。
本人が大げさに話しているだけで、
悩みの内容自体は「中学生レベル」のことで悩んでいるケースもあります。
『態度による錯覚現象』を回避するポイントは、『内容』で判断することです。
先入観を外し、しっかりとその内容で判断するようにしてください。
そして、もう1つ大きなコツがあります。それは、
【その『内容』を具体的に尋ねるという方法】です。
クライエントBが話している内容を「具体的に尋ねる」ことで、
その内容のレベルがハッキリと見えてきます。
これは、第8講の『現状把握』でお伝えしたことを思い出してください。
「具体的に尋ねる」ことで、より「本当の姿」の現状を把握することができました。
それが、ここでも役に立ちます。
それでは、ここで【態度による錯覚現象】の実例をみてみましょう。
これは、本当に実際にあった話です。
クライエントBはとても落ち着いた感じの素敵な30代の女性クライエントです。
しかしながら「とてつもなく酷い相手から、とてつもなく酷い苦労を強いられています」と話していました。
クライエントBは、とある相手のことを「悪魔のような人」だと言っていました。
あなたは、この時点で、どう感じられたでしょうか。
まず、「悪魔のような人」という言葉から、
この人がクライエントBであるという可能性を考えるようにしてください。
稀には居ますが、そもそも「悪魔のような人」は、なかなか実在するものではありません。
そのような常識的な判断が大切です。
そこで、
「悪魔なような人とは、その人は具体的にどのようなことを、あなたに対してしたのですか?」
と具体的な内容を話すように、質問をしました。
すると、クライエントBは、押し黙りました。
ここで大切なポイントは「あ、言いづらいことだったかな」と勝手に判断して、勝手に退いてはいけません。
「現状把握」は徹底的にする必要があります。
無理に聞き出すのも間違いですが、勝手に退くのも間違いです。
「その内容が判らないと、悪魔の様なのかどうか、判断が出来ないので教えてください」
と、さらに、訊ねたところ。
クライエントBはこう言いました。
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