石川ともひろの永田町早読み!
/ 2020年5月24日発行 /Vol. 401
◆検察を待ち受けていた「皮肉な顛末」
韓国ドラマ『補佐官』(ネットフリックス)は、警察官を辞職した国会議員秘書が国会議員となる過程で様々な難題をクリアしていくドラマだ。 秘書上がりの私にとって引き込まれるドラマだったが、韓国の政治と検察、警察の位置関係を勉強するうえでも勉強になった。
日本の場合は、東京・大阪地検の特捜部や10地検の特別刑事部が1次捜査権を持つが、ほとんどの事件は警察が逮捕・送検した後で検察が起訴するかしないかを判断している。 一方、韓国では、文在寅政権下で検察の一次捜査権を全て警察に委譲する改革を行ったが、その以前は、警察に対する検察の権限が強く、検事の権限で警察が捜査しようとしている案件をストップさせることができた。
ドラマ『補佐官』の中で、検事と警察の暗闘が随所に描かれていることも、巨悪が見逃されていることへの痛烈な皮肉なのだろう。 韓国の政治は検察を抑えようとする。
ドラマの中でも、準主役の検事上がりの国会議員は、大統領への登竜門として法務大臣に就任してなりふり構わず突き進む。 韓国では検察を抑えないと、権力を維持できないという構図があるからである。 就任した大統領が任期を終えたあと、必ず検察によって逮捕されているのもそうした構図があるからだろう。 無事に終わった大統領など誰もいないことが、すべてを物語っている。
さて、日本はどうだろうか。
誰が政治を支配しているのかという課題がある。 韓国では検察の力が強く検察が政治を支配しているかにも見える。 今回の黒川問題で新聞に、とある検事のコメントが掲載されていた。
「普段は検察の横暴を許すなと言っている人たちが今度は検察の独立性を守れと言っている。 敵の敵は味方ということか」
普通の人ならそのまま流してしまうコメントかもしれない。 だが、特捜部に逮捕され人生を左右された私は、検察問題に人一倍敏感なのでこのコメントを見逃すことはできなかった。
検察が「国家のためだ」ということで暴走しないようにすることは大切なことだ。 そのためにはコントロールが必要だが、政治におもねることもあってはならないことなのでバランスをどう取るのかは非常に難しいことである。
陸山会事件の際には「小沢一郎が検事総長人事を国会承認に変えようとしたことが検察の逆鱗に触れたのだ」という噂が流れていた。 だから検察の独立性を脅かす小沢を逮捕しろとなったのだ、と。 小沢一郎が本当にそんなことを考えていたのか……
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