■ブランディングとは何か?
自社の売上・利益を増やしたい。経営者なら誰しもそう思うはずだ。
社員も、自社がやりがいある、労働条件の良い会社であって欲しい
と願うはずだ。それを可能にするのが「ブランディング」だ。
ブランディングというと、フェラーリの跳ね馬やアップルのリンゴ
など、抜きん出た品質やユーザーのもつ良いイメージを表現するロ
ゴマークなどをイメージすることが多い。だが、それだけでなない。
ブランディングとは「柱の確立」のことだ。たとえば家を建てる時、
四面に壁を立て、上下を床と天井で塞げば、家のような構造体がで
きる。だが、柱がないとわずかな揺れでも崩れてしまう。
企業も同じだ。優れた商品やサービスがあることはもちろんだが、
その背景に経営者や企業の強い思いといった柱があるからこそ、安
定して、自立することができるのだ。
そんな企業の中にある「柱にしたいもの」「柱になるべきもの」を、
誰もが納得する「ブランド」として確立させる施策こそが「ブラン
ディング」なのだ。
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中小企業が、平均的・最大公約数的なプロダクトで大企業と戦うの
は難しい。ここで「淘汰される企業・されない企業」「現状維持と
飛躍する企業」を分けるのが「ブランディング」の有無だ。
筋の通った柱を持つことこそが、どこにもないプロダクトを生むこ
とにつながる。明確な柱を持つ企業だからこそ、大企業にも負けず、
他の競合他社に埋もれることもなく、ユーザーに選ばれるのだ。
ブランディングの本質は「企業の理想像」を明確にすることだ。自
分たちは「どうなりたいのか・どう見られたいのか」「自社の使命
とは」「社会に何をもたすのか」などを明らかにするのだ。
これらが明確になれば、進むべき方向も明確になるはずだ。そうな
れば、社員の意思が統一され、無駄が省かれ、意思決定のスピード
も上がるはずだ。
ブランディングは大企業だけのものではない。規模の大小問わず、
確立できるものだ。必要なのも、お金や従業員数など定量的なもの
だけではない。それ以上に、経営者や企業の持つ強い思いなのだ。
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今、社会ではパラダイムシフト、いわば革命的変化が起きている。
この流れに対応する上で大切なのが「差別化」「スピード」「イン
ター」の3つだ。これらに効果がある戦略がブランディングだ。
3つの要素の1つ目は「差別化」だ。「ブランディングで差別化で
きる」と言われても「当たり前だ」と思うかもしれない。だが、目
指すブランドの定義があやふやなままでは難しい。
ブランディングで実現できる差別化には、2つの方向性がある。一
つにはPOP、すなわちPoints of Parityだ。もう1つはPOD、
すなわちPoints of Differenceのことだ。
前者は「競合との差を埋めて追いつく差別化」だ。一方、後者は「競
合にないものを伸ばし、追い越す差別化」だ。中小企業にとって重
要なのは後者だ。差を埋めて追いつく差別化は、後ろ向きだからだ。
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先行者に追いつくことは、同レベルの競合と差別化することだ。し
かし、追いついた先には、これまでリードされてきた別の競合が待
ち受けている。
確実に進歩してはいるが、強力なライバルと同じ土俵にやっと上が
れただけとも言える。PODなら、総合的勝利を目指す必要はない。
自分たちの強みや柱に注力し、一点突破を狙えばいい。
低価格で高品質なプロダクトを全国展開する大企業の戦略は、堅実
で的確だ。しかし、中小企業が同じ土俵を目指すことは至難の業だ。
その戦略は、資本力や開発力、知名度があるからできるのだ。
中小企業は、POPでなく、PODの差別化を目指すべきだ。言い
換えれば、PODの差別化を実現できる何かを探し、具現化するこ
とだ。これが中小企業のブランディングなのだ。
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