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トランプの対中制裁激化でまさかの中国系企業上場廃止はありうるのか?

今市太郎の戦略的FX投資
****************************************  今市太郎の戦略的FX投資  ファンダメンタルズでテーマを見極め  テクニカルで実証してエントリーする     2020年6月1日号    ツイートアカウント @imaichitaro  よろしかったらフォローもお願いします。 ***************************************** トランプの対中制裁激化でまさかの中国系企業上場廃止はありうるのか? 中国習近平国家主席が5月28日の全人代において香港国家 安全法を導入する方針を正式に決定したことから、欧米勢 はかなりの反発姿勢を示しており、とりわけ新型コロナを きっかけとして国内政治がうまく田舎くなり始めている トランプ政権は中国に対する圧力を強めることで米国民の 関心を対中国政策に集中させようとしている気配濃厚で 景気がV字回復する可能性を悟ったのか中国への制裁 をさらに加速させようとしている状況が強く感じさせ られる状況になっています。 足元では米ミネソタ州ミネアポリス市で25日に起きた 警官の暴行による黒人死亡事件をきっかけに、全米各地で 抗議活動が広まっており、新型コロナで鬱積した不満が 上乗せして大きな暴動を引き起こし始めているように 見られます。しかしトランプ大統領はどうやらこちらの 件は完全にどこ吹く風の状態のようで対中国闘争の ほうに全力を挙げようとしているようです。 香港問題については旧大英帝国系の英国、カナダ、オースト ラリアからの反発も相当なもので、英国は1984年の 中英共同宣言で1997年の香港返還後も50年間、 つまり2049年までは香港の社会・経済・生活様式を変え ない一国二制度を国際社会に約束しており、今回の 国家安全法制の実施は大問題であることを表明しています。 トランプにとってはこうした英国勢が対中政策いついて 見方についてくれるのはかなりのインセンティブになって いるようで週明けからはさらに米中の制裁合戦がエスカレート しそうな雰囲気になりつつあります。 そんな中でまたしても浮上し始めているのが米国市場における 中国企業の上昇廃止の問題です。これは昨年米中が通商協議で 相当もめたときにもトランプ政権で検討したと言われる問題 ですが、政治的な問題がいきなり経済の場にも対立をもたらす ことになりかねないだけにかなり大きな対立の火種になりかね ない状況ですが、米国内の政治的状況から考えた場合、今回 ばかりは本当に上場廃止をトランプが強制しかねない状況に なっているのがかなり危惧されるところです。 ■全く無理な話ではないが政治的問題での一斉廃止は前代未聞 中国企業の強制上場廃止などと一口に言いますが、誰しもそんな ことが簡単にできるのかと思うのは自然な疑問といえます。 しかし現実には大きな問題は伴うもののどうやら実現は可能な 状況になってきているようです。 現状ではNASDAQとNYSEおよびその傘下のアメリカン証券 取引所にすでに上場している中国系企業は大小含めればおよそ 150社あまりが存在し、アリババや京東商城、百度などの 大手も含まれています。こうした中国上場企業大手の時価総額 だけとってみても5000億ドル程度となりますから米国株式 市場のなかでも馬鹿にならない存在となっていることは間違い ありません。 個別の銘柄に対する上場廃止というのはそれほど珍しいこと ではありませんが地政学的理由から一斉に特定国出身の企業 の銘柄が上場廃止になるというのは株式市場が始まって以来 始めてのことになるだけに資本主義の根幹を脅かしかねない 問題で中国系企業にとっては少なからず痛手になることが 予想されるところです。 ■非公開化は投資家真っ青だが別の取引所移転は十分ありうる話 中国企業上場廃止で株が単純に非公開化となると既存の保有株主 も真っ青の状態となります。単純に株主から自社株を買いもどす ということも考えられますが、価格が下落すれば保有株主にとって はなんらいい話ではなくなります。したがってもっとも可能性 が高いのは、それこそ一国一制度が強まる香港の株式市場へ 上場し、株主に米国での上場株と引換に新株を交付することが 考えられますが、米株市場で保有されていた価値を維持できる かどうかも大きな問題になりそうです。 そもそもこうしたやり方は株主にとっても企業側にとっても それなりのリスクが発生することになりますし、物理的な 手続き面では相当な煩雑さを伴うもので決して簡単なものでは ないのが現実です。 実際、アリババはこうした最悪の事態を想定してかすでに 香港市場に上場を果たしていますし、百度もNASDAQから 撤退し香港など中国に近い市場への上場先移転を本格的に 検討しはじめていますから、まんざらありえない話では なくなりつつあることも見えてきています。 ■中国の場合国家隊が香港市場に資金投入し移転株を支える可能性も 上場市場の移転が何とか成功したとしても米株市場で維持 できていた株価による時価総額が、香港市場に移行した ことで同規模レベルを維持できるのかという問題も投資家 としては気になるところですが、ここのところ中国による 香港国家安全法導入の話がではじめてから猛烈に中国 本土から香港株への買い向かい資金が増加中で、その一部 はいわゆる中国の国家隊と呼ばれる中国政府系資金が 猛烈に投入されていることが漏れ伝わってきます。 本来は香港から多額の資本逃避が進むはずなわけですが 中国当局は市場の動揺を抑えるのに躍起のようで、仮に アリババが米国で上場廃止になったり百度が自主的に NASDAQから撤退して香港市場に移行してきても猛烈 に買い支えることで株価の維持に努める可能性が十分に ありそうな状況です。 とはいうもののもっとも資金が集まる米国株式市場から ドロップアウトするというのは中国企業にとってはなんら プラスにならないことは厳然たる事実で、やはり制裁 いやがらせとしては一定の効果がありそうです。 ■世界の資金が集中する米国相場自体がブーメラン的に衰退するリスクも この中国企業の米株市場からの強制上場廃止の動きですが 一時的には中国企業にダメージを加えることにはなるものの 冷静に考えれば国際資本市場として機能しどれだけFRBが 紙幣を刷りまくって配ってもドルの価値を維持することに 役立ってきた米株市場に最終的には大きなダメージを与える ことになるであろうという点はしっかり理解しておく必要 があります。ここから先ドルは世界的な基軸通貨の役割を 果たさなくなることも十分に考えられるわけですが、それにも まして資本を集めることができる先進国では絶対艇なポジション となってきた米国の役割がかなり減退してしまうことだけは 意識しなくてはなりません。結局ブーメランのように 米国にその損失がまわって戻ってくることになるのでは ないでしょうか。 とにもかくにも今週以降米中の対立がどこまで深刻な状況に 進むのかをしっかり見極めていきたいところです。 新型ウイルスをきっかけに世界の分断化は予想以上に早く 進んでいる状況です。

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