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企業の武器

見ル野栄司のシブすぎ技術秘話
言わずと知れた 潜水艦映画の最高傑作! 終戦間近のナチスドイツの潜水艦兵士たちは無謀ともいえるジブラルタル 海峡越えを命令される。しかし当時最高の技術の集大成であるはずの U-boatですら敵戦艦が集中する狭い海峡を突破できるわけがなく、艦長は いったいどういう作戦をとるのか? というもの。 今回は漫画家視点での解説をしよう! この映画の凄いところはイギリス軍が落としてくる爆雷におびえるシーン などの、映画を観ている者も潜水艦内部にいるようにさせる 効果 である。ある意味これは発見でありホラー要素にも繋がる。 さらに男たちのキャラクターもいい。絶対にあきらめない艦長とそれを 守る精鋭たち。休息中は冗談交じりの会話を楽しむが、いざ戦闘となると 飛びあがって移動し仕事にかかる。 それだけ命を懸けているという ギャップなのだ。 箱ものということで意外と低予算であるがこの緊張感を生み出した ことが映画的発見であり、その後のSAWなどにも影響を与えたとか 与えないとか? 音楽も、どこかで聴いたことがあるものだと思ったらよくテレビ番組や アニメでも使われている。それだけこの映画のBGMがかっこよく いろんな音屋さんに影響を与えたのだ。 そしてジブラルタルの海底に座礁したU96は絶体絶命になる。 あらゆる機能が故障するも必死で修復する乗組員たちであったが バッテリがいかれてしまい、どうにもこうにもならない。 唯一生きているバッテリ同士を繋げる配線作業をしたいにも肝心の 針金が無い! そこで艦長は言う こんなにのも魚雷を積んでいてもたった一本の針金が無いだけで みんな死ぬのか と。 皮肉である。 技術というものの便利さに現を抜かしていたが ちょっとしたことですべてを失うはかなさ。 途中で爆雷におびえ、逃げ出そうとする機関室の職人のヨハン。 ベテランでさえそうなる状況に一同は唖然とする。その後ヨハンは ジブラルタルのピンチでは見事に浸水を止めて汚名挽回をする。 ドイツという技術大国であっても戦争となると結局人間の気力が 救いに繋がるということ。 全乗組員が一丸となって修復作業を終え、イチかバチかの浮上が 成功した時の感動は映画史上最高のシーンとも言える。 ディレクターズカット版ではジブラルタル突入前にドイツ商船から 物資を補給するシーンでは艦長が商船のブクブク太った偉い人たちに 歓迎されオイシイものを勧められるのだがイチヂクしか口にしない。 偉いひとは艦長を英雄と称え、武勇伝を何度も何度も聞きたがるが 彼は一切答えない。 ここもポイントである。現場の人間は得意気に武勇伝を自慢しないのだ。 いや、話しても分からないし 普通のことを話すことが無駄 なのだ。要するに 戦争職人 である。 かと言って艦長は一切ナチスドイツのことを褒めない。 戦争が嫌いなのだ。 しかし戦いは好きである。 日本のサラリーマンのみなさんやエンジニアたちも同じかもしれない。 ラスト、フランスの港にみごと帰還した一行は英雄扱いされるも 爆撃をくらい、ほとんどの乗組員が壮絶な死を迎える。 艦長は爆撃を受けてゆっくりと沈んでいくU-boatを見守ったあと 息を引き取る。 まるで遊戯を終えた子供が眠るかのように。 今回のメカ度 90点 ダブルシャフトを駆動させる機関室の沢山のピストンたちに 献杯!

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