■信頼関係を築くと、人は話したくなる
部下から失敗の報告を受けた時、取引先のルール違反を見つけた時、
子供の悪事を知った時など、ビジネスでも日常生活でも、相手の非
を見抜いたり、真実を聞き出したりする必要に迫られることがある。
刑事の世界では、真実を暴く技術を「落とし方」という。これは究
極のホンネの引き出し方だ。学べば、部下や顧客・取引先、子供、
パートナーなどから本音を引き出すことができるはずだ。
やましいことがある当事者は、ウソをついてその場を誤魔化そうと
するものだ。取調べを経験する中で感じたことだが、ウソや隠し事
を暴くには、テクニックが必要だ。
もちろん「こうすれば、必ず落ちる方法」はない。だが、場数を踏
んで研究を重ねていけば「落とし方」には注意すべきポイントがあ
ることがわかる。ここではその技術を解説したい。
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自供すると不利になるようなことを本人に言わせるには、信頼関係
が必要だ。これがないと、人は話してくれない。相手から信頼され
るには、日ごろから注意すべきことがいくつかある。
まず、見た目に気を配ることだ。「メラビアンの法則」によると、
人が初めて誰かと会うときには、3つの要素と比率をもとに判断し
ているとされている。
顔立ち、服装、髪型など視覚情報が55%、話し方、声など聴覚情報
が38%、話の内容など言語情報は7%だ。「見た目」とは視覚情報
と聴覚情報」で全体の93%だ。「人は見た目が9割」なのだ。
最初に対面した時に相手に与えた第一印象で、その人の印象は決ま
ってしまうものだ。これを心理学で「初頭効果」と言う。つまり、
悪い印象を与えてしまうと、後から改善するのは非常に難しいのだ。
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次に、相手に興味を持つことだ。初対面の人と話す時は、質問7割、
自分の話3割で話をする。興味がなければ、会話の糸口は見つから
ないし、広がらない。相手のことを知りたいから、会話は弾むのだ。
相手に興味を持ったら真剣に話を聞くことだ。つまり傾聴だ。その
上で疑問に思ったり、興味を持ったことを質問する。相手は「自分
に興味を持ってくれた」という良い感情を抱く。だから話が膨む。
つまり、聞き出す側から相手が話したくなるような環境を作ってあ
げるのだ。コミュニケーションの根本は「他人に対する興味である」
と言っても過言ではないのだ。
★
相手の立場になって接することだ。人は、相手が上辺だけで接して
いるか、心から自分のことを思っているのかを察する能力がある。
相手の立場になって接していれば、心は必ず通じ合ってくる。
さらに、あてえ弱みを見せることも重要だ。相手に弱いところをさ
らけ出されると、その人のことが可愛くなったり、助けたくなった
りもするものなのだ。
嫌いな上司、部下、苦手な友人と仲良くなる必要があったり、人並
みのコミュニケーションを取らなければならない時、自分から悩み
を相談したり、あえて弱みを見せれば、相手は心を開いてくれる。
小さな約束を守ることも大切だ。たとえば、約束の時間に送れない
などだ。ビジネスの世界でも当たり前のことだが、できていない人
が少なくない。これが自分の信用を傷つけてしまう。
ブレない軸を持つことも大事だ。特に、話や行動に一貫性があるこ
とだ。そういう人は信頼される。人として、わかりやすいからだ。
反対に、言うことややることがコロコロ変わる人は、信頼されない。
彼らは、一緒にいても、どんな方向に流れていくかが想像できない。
人間が生きていく上で軸や方向性はとても必要だ。それによって信
頼が得られるのだ。
刑事の経験から信頼できない人の特徴をあげると、ウソをつく人、
感情をあらわにする人、「絶対」を多用する人、責任転嫁をする人、
気まぐれで一貫性がない人などが要注意だ。
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