石川ともひろの永田町早読み!
/ 2020年6月7日発行 /Vol. 402
◆八方塞がりの安倍氏が決断する「捨て身の策」とは
自民党内で「安倍おろし」の動きが加速している。
発端は昨年の参院選後の自民党人事にさかのぼる。安倍晋三総理は、二階俊博幹事長を副総理に棚上げし、岸田文雄政調会長を幹事長に据えることで、ポスト安倍の備えをさせようとしていた。 しかし、これに二階氏が反発し、岸田氏は政調会長留任となった。 岸田氏を浮上させたい安倍氏は、特定給付金の案を岸田氏に練らせて岸田氏から記者団に発表させることで花を持たせようとした。 お金を配る権限を持っていることをアピールすることは政治力を示すことになるからだ。
特定給付金の案を岸田氏に発表させるまでは、安倍氏のシナリオ通りだった。 だが、「1世帯30万円」案では国民の14%にしか支給されないことがわかると、国民が猛反発。 二階氏が牙をむいて公明党の山口那津男代表に連立離脱をちらつかせて30万円案を撤回させ、国民全員に10万円を給付する案に変更させた。 「10万円をもらえるのは公明党のお蔭」となってしまい、岸田氏は政治力の無さをさらしてしまったのだ。
安倍氏の誤算はシナリオの破綻だけではない。 政権の支柱だった菅義偉官房長官との隙間風も新型コロナ問題で大きくなっており修復が難しくなっている。 もともと菅氏は、自分に近い政治家は二階派に所属させているため二階氏とは息が合っている。 二階氏が引退した後は菅派に衣変わりする、と私は見ている。 そんな関係であることもあって、永田町では、二階氏と菅氏が石破氏をかつぐという案すら浮上している。
安倍氏としては、こうした動きが固まる前に岸田氏に何とか禅譲したい、というのが本音だ。 いまだに「次の総理にしたい人」でトップを走る石破氏にだけは総理の座は明け渡したくないのだ。
安倍氏には、もう一つ心配な問題がある。 黒川弘務・前東京高検検事長(訓告処分後に辞職)を検事総長に据えることができなくなったことにより、検察をコントロールできなくなってしまった。 次の総理が石破氏になってしまうと……
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