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第115回 映画産業とブロックチェーン その1
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▼今回の記事
今回は、映画産業におけるブロックチェーン導入の概要を紹介する。また、この分野ですでに稼働しているプロジェクトを中心に紹介する。その前に、中国におけるブロックチェーンの発展についてひとこと言及する。
▼映画産業におけるブロックチェーン
それでは今回のメインテーマを書く。映画産業におけるブロックチェーンの適用についてだ。
世界各地でロックダウンや社会的活動の自粛要請が相次ぐなか、日本をはじめ各国の経済は大きく落ち込んだ。しかし、そのようななかでも成長したのが、「NetFlix」や「HuLu」などのオンラインの映画配信サービスだ。これらのオンラインサービスのプラットフォームでは独自の映画も製作し、映画産業に新しい風が吹いている。
そうしたなか、オンライン配信との高い親和性で注目されているのが、ブロックチェーンの導入だ。いまこの分野では、次のような4つの方面でブロックチェーンの導入が期待されている。
1)販売および流通ネットワークの役割
過去10年間で映画産業は大きく変貌した。「NetFlix」、「HuLu」、「amazon」、「Apple」などのオンライン映画配信のプラットフォームが台頭し、映画が視聴される方法は劇的に変化した。そしてこの傾向は、新型コロナウイルスのパンデミックでロックダウンや行動規制が世界的に導入された状況で、映画のオンライン配信は自宅に巣籠もりした人々にとって、格好のエンターテイメントになった。経済が落ち込むなかでも、この分野の成長は著しい。
しかし、現在の映画オンラインサービスは中央のサーバーが集中管理する中央集権的なシステムが一般的だ。そのため、映画制作者とオンライン配信サービスとの間では、利益分配に関する多くの面倒なプロセスがあり、時間がかかる。もしこうした状況におブロックチェーンを導入できれば、利益配分のプロセスは大幅に短縮される。
導入が期待されるのは、プログラムの自動実行機能を有するイーサリアムのブロックチェーン、スマート・コントラクトである。映画制作者とオンライン配信サービスとの関係にスマート・コントラクトを導入すると、映画の配信で発生した利益の配分契約は自動実行され、既存の繁雑なプロセスは簡素化される。これによるコストカットの効果は大きいので、それを視聴者に還元することができる。
2)著作権と所有権の管理
映画業界にとって、著作権の保護は複雑でコストのかかる仕事だ。著作権侵害に対する保険は、映画スタジオの主要な費用になっている。一方、小規模で独立した製作者と配信業者にとって、訴訟と罰金の発生は彼らの存在を脅かす主要な問題となる。さらに、高品質のオリジナルストーリーのアイデアを持つコンテンツ作成者や、興行収入を大きく伸ばす独立した映画を制作しているコンテンツ作成者は、著作権が侵害される恐れが絶えずある。
ブロックチェーンを導入すると、アイデア、ストーリー、脚本、キャラクターなどの取引の記録を作成することで、著作権侵害に対処できる。ストーリーのアイデアや台本の作成者は、コピーをブロックチェーンに登録し、著作権を登録する。また、制作に関心のあるスタジオへの権利の譲渡、そしてオンライン配信サービスへのタイトルの配信権の譲渡などのやり取りも、ブロックチェーンに記録される。
さらに、契約内容を自動実行できるスマート・コントラクトを使用すると、テレビや航空会社への配給、商品のライセンスの管理、国際リリースなどへの権利の割り当てをマネージし、契約内容を自動実行できる。
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