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週刊 Life is Beautiful 2020年6月16日号

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん Black Lives Matter 今回米国で行われているデモのスローガンが「Black Lives Matter」であることは日本でも報道されていると思いますが、これは 2012 年にフロリダ州マイアミで Trayvon Martin という名前のアフリカ系アメリカ人の少年(17歳)が銃殺された事件をきっかけに、始まった人権運動です。 それが、今回、ミネアポリスで起こったGeorge Floyd 氏の警察官による殺害事件で広く使われるようになったのです。 直訳すれば「黒人の命は大切」(matter は動詞で、重要だ、大切だ、意味がある、のような意味です)となります。 日本人からすれば「そんなの当たり前」で、それがスローガンになること自体が不思議かも知れませんが、米国にはそんな当たり前のことをわざわざ言わなければならないぐらい、根が深い人種差別が存在するのです。 私の住むシアトルは、米国の中では北西部にあり、歴史的には、同じような気候を持つ北欧からの移民が多い場所です。しかし、距離が近いこともあり、アジアとの交流も盛んで、特にここ30年ほどは Microsoft や Amazon が大量に優秀な人材をインドや中国から呼び寄せていることもあり、移民の存在感はとても大きな場所です。 そのため、アジア人として差別された経験はありませんが、ヒスパニック系(メキシコ人など)の人たちと黒人に対する差別は若干あることは否定出来ません。 しかし、その差別は、昔のように肌の色から来るのではなく、今では社会階層から来る部分が多いのも事実です。彼らの大半が最低賃金で働いており、子供達にまともな教育を受けさせることが出来ず、世代をまたがった貧困(貧困の連鎖)が続いているのです。 統計的に「ヒスパニックや黒人の人が貧困層である可能性が高い」のは事実ですが、それが、ヒスパニックや黒人を見たら貧困層だと思う貧困層には犯罪者も大いに違いない犯罪者は怖い、近づかない方が良い という負の連鎖反応を頭の中に起こした時に、人種差別が起きるのです。 シアトルのように、比較的ヒスパニックや黒人が少なく、歴史的にも人種差別の少ない(南北戦争では北軍に属していた)場所でもそんな状況なので、いまだに「南軍は正しかった」と主張する人が生きている南部の州での黒人に対する差別はとても根が深いのです。 もっと分かりやすく言えば、(表現は過激ですが)黒人の命を「虫けら以下に」感じている人が南部の州には少なからず存在し、そんな人が警察官になった時に、あんな事件が起きるのです。つまり、「Black Lives Matter」という言葉には、「黒人の命は虫けら以下じゃない」というメッセージが込められているのです。 本来ならば、警察という組織がそんな人たちを排除する動きをすべきなのですが、警察で働く人たちが作る労働組合が非常に強い力を持っているため、(人種差別排除のための)様々な規制が彼らによって骨抜きにされているという現状があります。 この辺りの話に興味がある人は、是非とも「Police: Last Week Tonight with John Oliver (HBO)」というビデオを見ていただきたいと思います。この問題の根の深さが良く分かります。 この問題を根本的に解決するには、貧困の連鎖を含めた黒人の貧困問題を解決しなければなりません。しかし、新型コロナ対策で各地で行われているロックダウンが大量の失業者を生み出し、もともと広かった貧富の差をさらに広げているという皮肉な状況なのです。 アンケート 先日、神奈川県で異臭騒ぎがありました(謎の異臭が北上し通報500件 皆が“未経験の臭い”)。原因は今の所不明ということで、ネットには様々な情報が飛び交っています。原因不明…三浦半島の“謎の異臭”は首都直下地震の前兆か三浦半島で異臭騒ぎ 地震予兆説、タンカー説...推測相次ぐも「原因わからなかった」

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